テレビ局の病「視聴率至上主義」
SBIとの提携で何が変わるか

 SBIといえば前回の株主総会でアクティビストが推す北尾吉孝氏の社外取締役選任案を大差で否決したはずの相手です。

 拒絶したはずの北尾氏とその後、フジの清水社長は何度かの話し合いを持ったようです。そしてSBIが掲げる「ネオ・メディア」に共感し「互いにWin-Winになれる」として戦略提携を決断します。

 メンツとして経営の独自性をかたくなに守りながらも、外部のアクティビストの経済合理的なアイデアは実質的に取り込んでしまうというのは、実にしたたかな経営姿勢だと思いませんか?

 さて、もう一段状況を深く掘り下げてみましょう。

 これはフジテレビだけでなく日本の伝統的大企業全般のかかえる課題なのですが、自社よりも外部のほうがよほど広い視野でビジネスチャンスに気づいているものです。

 フジのいるメディア事業は世界経済の中での成長分野です。マリオのハリウッド映画が世界的に評価され、サウジアラビアにはドラゴンボールのテーマパークの建設が決まる時代です。

 それが業績に反映されない。ここにテレビという産業全体が抱える大問題があります。

 根本には組織の問題があります。1クール、つまり四半期ごとに大量のIPコンテンツを生み出しているのがテレビ局です。しかし組織としてはその四半期の視聴率にしか関心がない。これが現場のかかえる矛盾です。

 そこで清水社長は「さらなる成長をしていくためには、全く別な物を入れていかざるをえない」として、異物を取り込む決断をしたのです。

 今回検討されている提携は一見すると「テレビ会社と金融会社」という意外な組み合わせです。しかし公開されている諸々の情報から推察される戦略的可能性にはかなり面白いものがあります。