「放送して終わり」からの脱却
1000億ファンドが狙うIP戦略
フジ側の戦略的狙いは、テレビ会社のビジネスをIPという軸で再編したうえで、そのIPに投資をすることで企業価値を最大化していくことだと読み取れます。
ここを具体例で説明しましょう。フジテレビが放送・展開に関わってきた価値の高いIPを3つのグループにまとめてみます。
・IP価値が高いドラマ:『踊る大捜査線』『ガリレオ』『古畑任三郎』『北の国から』など
・IP価値が高い番組フォーマット:『テラスハウス』『あいのり』『逃走中』など
ほかにもガチャピン・ムックなどがありますが、そこはいったん割愛します。
こうやってまとめてみるとフジが抱える経営課題ははっきりします。ポイントは3点で、世界的価値があるIPコンテンツ(『ONE PIECE』など)については、IPを大きくする役割(アニメ化)で貢献しているけれども、権利はごく一部しか持てていない。これがひとつめ。
『踊る大捜査線』のように独自IPが映画のシリーズ化で大ヒットしたケースはあるが、ごく一部の作品が映画で儲けただけ。これがふたつめ。
『テラスハウス』『あいのり』『ねるとん紅鯨団』『料理の鉄人』など力のある番組フォーマットがあるが、一部海外でヒットしたぐらい。これがみっつめです。
先に三番目の課題についてさらっと触れますと、フジが得意だった恋愛リアリティショーはグローバルな人気IP分野です。
『テラスハウス』はネットフリックスへの進出に成功しました。ただ出演者が自ら命を絶ったことを機に、その後の展開が難しくなったと見られます。現在ではアマゾンの『バチュラー』シリーズやネットフリックスの『ラヴ上等』などグローバルな展開では他社の企画が世界の主流になっているのが残念です。
さて、今回のSBIとの資本提携協議で注目されるのは一番目と二番目の課題でしょう。つまりこれから大きく育つ可能性があるコンテンツにどこまで権利を持てるのかという点と、そのコンテンツをどこまで大きくできるのかが経営課題です。
では提携でどう変わるのでしょうか?清水社長の言うところの「全く別な物」としてのテレビ会社と金融会社の違いを考えると3つの違いが生まれます。






