部下がミスをしたとき、自分が動いて何とかしてしまう――その判断が、実は同じミスを繰り返させる原因になっているかもしれない。

火事が起きたとき、上司がすべき仕事は何か
現場でトラブルが起きたとき、多くの新任上司が真っ先にするのは「火消し」だ。
部下がミスをすれば、自分が代わりに謝罪し、
資料を修正し、納品まで済ませてしまう。
その場は収まり、一見すると「頼れる上司」として映るかもしれない。
しかし上司の本来の役割は、目の前の火を消すことではない。
なぜその火事が起きたのかを突き止め、
同じことが二度と起きないような仕組みを設計することだという。
この視点が抜け落ちたまま火消しだけを続けていると、
問題の根本には何も手が打たれていないことになる。
「代わりにやってしまう」が、学習の機会を奪っている
多くの新任上司がおちいる罠がここにあります。部下がミスをしたとき、自分が代わりに謝り、自分が代わりに資料を直し、自分が代わりに納品してカバーしてしまうのです。
これは一見「頼れる上司」に見えますが、実は「問題の根本」には何も手を打っていません。
その結果、翌月もまた同じ部下が、同じようなミスをし、また上司自身が火消しに走ってしまいます。
そして、部下に対して「なんで学習しないんだ!」と怒りを感じてしまうのです。
上司が代わりに対処してしまうと、部下はそのミスの結果を自分で経験することができない。
クライアントへの謝罪も、修正作業の大変さも、
すべて上司が引き受けてしまえば、部下の中に「何が起きたか」という実感が残らない。
実感がなければ、次に同じ状況が来たときに行動が変わらないのは当然だとも言える。
その結果、翌月もまた同じようなミスが繰り返され、
また上司が動いて収拾する――というループが生まれていく。
そして最終的には、「なぜ学ばないのか」という怒りが上司の中に湧いてくる。
しかし、学ぶ機会を奪い続けてきたのは、上司自身の行動だったということになる。
「仕組みを変えること」が、上司の本質的な貢献になる
ミスが起きたとき、上司が問うべきことは「誰が悪かったのか」ではなく、
「なぜこの状況が生まれたのか」という問いだ。
確認のプロセスに抜け穴があったのか、
部下が判断できる基準を持っていなかったのか、
引き継ぎや情報共有に問題があったのか――
原因を構造として捉えることで、初めて再発防止のための手が打てるようになる。
部下のミスを自分でカバーすることをやめることは、
冷たい上司になることではない。
部下が自分で問題に向き合い、そこから学ぶ機会をつくることは、
長い目で見て、チームの力を育てる最も重要な貢献になっていく。
次に部下のミスが起きたとき、代わりに対処する前に「なぜこうなったのか」を一緒に考えることだけでいい。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)














