つらいのは「怠け」ではないかもしれない。2万人をみてきた組織開発コンサルタントで『組織の違和感』の著者である勅使川原真衣氏が、実際に職場に分け入って考えた、組織変革のコツを伝えます。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
休みを挟んだからこそ気づくもの
長い休みが終わる日の夜。
「明日から仕事か……」
気が重い。休んだはずなのに、会社に行くことを考えるだけで疲れる。
そんな自分に対して、「怠けちゃだめだ」「気持ちを切り替えないと」と思う人も多いかもしれません。
ですが、休み明けに感じる「会社に行きたくない」という気持ちを、単なる怠けや甘えとして片づけないほうがいいこともあります。
なぜなら、休みを挟んだからこそ、普段見えなくなっていた違和感に気づくことがあるからです。
「慣れ」で蓄積する違和感
毎日働いていると、人は案外いろいろなことに慣れてしまいます。
朝から大量のメールを処理する。会議では上司の顔色を見ながら発言する。苦手な相手にも明るく振る舞う。本当は納得していない仕事でも、「まあ、仕事だから」と引き受ける。
一つひとつは小さなことです。
だから、その場では「こんなものだろう」と流してしまいます。
でも、いったん仕事から離れて、好きな時間に起きたり、気を遣わない人と過ごしたり、一人でゆっくりしたりすると、自分が普段どれだけ無理をしていたのかに気づくでしょう。
そして休みの終わりに、また同じ場所へ戻ることを想像した瞬間、身体や気持ちが「ちょっと待って」と反応する。
その感覚が、「会社に行きたくない」という気持ちとして表れることがあるのです。
何と何が噛み合っていないかを見る
ここで大事なのは、すぐに「仕事そのものが嫌いなんだ」「自分は向いていないんだ」と決めつけないこと。
仕事の内容は好きだけれど、上司とのやりとりで消耗しているのかもしれませんし、人間関係は悪くないけれど、自分に合わない働き方を続けているのかもしれません。
当然、同じ職場でも、感じ方は人によって違います。
雑談が多いとうれしい人もいれば、集中できず疲れる人もいる。曖昧な指示でも自由に動ける人もいれば、目的や役割が明確なほうが力を発揮できる人もいます。
どちらが正しいわけでもありません。
問題は、自分に合わない環境のなかで無理をしているのに、「もっと頑張って適応しなければ」と、自分だけを変えようとしてしまうことです。
もし休み明けに強い違和感を覚えたら、「なぜ私はこんなに仕事が嫌なのだろう」と自分を責める前に、少し分解してみてください。
自分は何が嫌なのか、つらいのか。
仕事量でしょうか。人間関係でしょうか。役割でしょうか。毎日の働き方でしょうか。
それとも、職場にいるときの「自分らしくない自分」でしょうか。
普段は忙しさのなかに埋もれてしまう小さな違和感が、休みを挟むことで見えてくる。それは、自分がより自然体で働くためのヒントかもしれません。
だからこそ、休み明けに感じた「なんとなく嫌だ」で自分を責めすぎず、その感覚を大切にしてみてほしいのです。
忙しいリーダーに、効果のあることだけ

「好き嫌い」や「やる気」、
「あうんの呼吸」に頼らず
組織を機能させるための具体策!
対話より先に、やるべきことがある。
「大丈夫です」のひとことでモヤッとしたとき、
待ちの姿勢ばかりの部下に自走してもらうにはどうしたらいいのか、
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えるための効果的な伝え方は?……
ビジネスの現場に尽きないコミュニケーションの悩みを、「マネジメント」のスキルとして、「3段階」に分けて打ち手を授けるのが本書です。
まずは土台となる「観察」のスキルを紹介。ここでは、違和感に着目するというユニークな手法をとります。
そして、「自分を知る」「相手を知る」「組み合わせる」の3段階で、関係性から組織の最適解を導き出します。
自分と相手の「持ち味」を知り、
組織をつなぎ直すための一手を
この3段階を経て、違和感を乗り越えるための伝え方や振る舞い方を具体例とともに紹介します。
スキルといっても、難しいものではありません。「あれ、今なんか変だったな」という気づきを、手がかりにつかむこと。
さらに本書では、「持ち味」を知るためのいくつかの診断も掲載。すぐにチームに実装できるような作りにしています。
事前に特別な準備や学習はまったく不要。やるべきことが明確になり、現場のもやもやがクリアになります。
いつでも「今ここ」での気づきから組織を改善できる。行き詰まった状態を打開する新鮮な方策が詰まった、忙しいリーダーの支えになる一冊です。

本書の内容
はじめに
ギリギリな組織の頼みの綱は
人それぞれが「正しさ」を生きている
「持ち味」の組み合わせと「解釈」のクセ
第1章 違和感とは何か? ―― 「決めつけ」が横行する現場で
観察の達人!? コナンくん
仕事に本音はいらない
「なんか変な感じ……」の正体
人はみな「違う色のメガネ」をかけている
「職場のすれ違い」は決めつけから生まれる
とにかくみんな疲れている
すべてのコミュニケーションの基本となる「観察」の3ステップ
第2章 「自分を知る」 ―― 違和感に気づくと「自分」がわかる
自分の本音がわからない
変えられない性質は確かにある
手がかりは「どうしてもとりつくろえない瞬間」
「わかってほしかった」は「解釈のクセ」が生み出している
「自分が知らない自分」はスマホが教えてくれる
第3章 次に、「相手を知る」 ―― 人間関係の違和感から「相性」を知る
「伝える」の前に「見る」がある
「言わなくてもわかるでしょ」はマネジメントの怠慢
相手の何を「見る」のか? ―― ソーシャルスタイルの4類型
「他者の合理性」を知るヒント
「人それぞれ」では話が進まない
第4章 そのうえで、「組み合わせる」 ―― 違和感を役立て最高の組織をつくる
「今いるメンバー」で最高のチームをつくる
「好き嫌い」より「相性」を考える
それは「評価」ではなく「評判」です
「自分でやったほうが早い病」への処方せん
「似た者同士」がうまくいくとは限らない
職場は「ドレッシング状態」にならなくていい
個人と組織のサンドイッチ作戦
第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
役割の実行を後押しする「面談」「相談」「雑談」「対話」
「大丈夫です」の複雑さ
「よかれと思って」が残念なワケ
待ちの姿勢ばかりの部下に「自走してほしい」と伝えたい
スタンドプレーが多い部下に「チームで仕事をしよう」と伝えたい
コミュ力が高い人の「真の使命」は、相手に合った手段を選ぶこと
危うい場面で役に立つ「否定しない技術」
会議時間を短縮すれば「生産性」が高まるのか?
「困っている人」は「決めつけていない人」
第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
「いい人材がいない」と嘆く人は組織の価値を見落としている
「重すぎない信頼関係」のススメ
「健全に疑う」のススメ
100点を取ってきた子どもに「偉いね」と言ってはいけない理由
100%わかり合うことは無理、それでも「訂正」し合うことはできる
「自分のまま働く」ために
解説 ―― 坂井風太