仕事では、「結果を出していれば評価される」と考えがちだ。しかし、同じような成果を上げていても、高く評価される人もいれば、その実力が十分に伝わらない人もいる。その違いは、能力だけでは説明できない。相手に信頼され、人を動かす人には、ある共通点がある。では、それは何なのだろうか。

「背中で語る上司」が人望を失う理由・ワースト1Photo: Adobe Stock

強いだけでは、有名にはなれない

ボクシングの世界チャンピオンになっても、有名になる選手と、ほとんど知られないままの選手がいます。
実力は大きく変わらないはずなのに、注目度やファイトマネーには差が生まれます。
その違いは何か。
それは、自分の思いや考えを言葉にして伝える力だと思います。

評価は、実力だけでは決まらない

実は、職場でも似たことが起きています。

私自身、会社員時代はアピールが得意ではありませんでした。
結果は出しているつもりでも、評価や出世にはなかなか結びつかなかった。
当時は「実力があれば伝わるはず」と思っていましたが、今振り返ると、思いや考えをきちんと言葉にしていなかったのかもしれません。

部下との関係性も、どこか似ています。
基本的には一方通行で、相手から本音が返ってくることの方が少ないものです。
だからこそ、相手がどう受け取るか、どんな気持ちになるかを想像しながら言葉を選ぶ必要があります。

もちろん、過度な自己主張をする必要はありません。
ただ、思いや考えを口にしないリーダーが多いのも確かです。

背中で語るだけでは伝わらない

ある飲食店のオーナーシェフから相談を受けたことがあります。
口数が少なく、「背中で見て覚えろ」というタイプの方でした。
しかし、厨房のスタッフはいつまで経っても入れ替わりばかり。
本人は「なぜ定着しないのか分からない」と悩んでいました。

話を聞くと、仕事の指示は出すものの、なぜそうするのか、何を大切にしているのかを説明していなかったのです。
「見ていれば分かるはず」
――その思い込みが、若手スタッフとの溝を生んでいました。

言葉にするだけで変わること

たとえば、部下に仕事を任せるとき。「これ、やっておいて」だけで終わらせていませんか?
「この仕事、君に任せたいと思ってる。なぜなら、君のこういう強みが活きると思うから」
そう一言添えるだけで、部下の受け取り方は大きく変わります。

その積み重ねが、部下との信頼関係を作っていきます。

(本稿は、『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の発売を記念したオリジナル記事です)