金融庁の動きを見ていれば
うまく逃げ切れる
そうした事態を国が容認しそうにないことは少し調べればわかる。金融庁のホームページに「貸付条件の変更等の状況について」という資料がある。「貸付条件の変更等」とは、中小企業がローンの返済に困った場合に、現在返済中の借入金の返済方法を、借入者の状況に合わせて一時的に緩やかなものに変更するというものだ。支払いのリスケジュール、軽減、減免、借り換えなどを指す。つまり、ローンの返済を返せる分まで猶予することを意味している。
その数はコロナ以降、中小企業は399万件あまりの申し込みとなり、その99.1%が応じられている。つまり、返済できなくなる前に金融機関に相談すれば、ほぼすべて応じてもらえるのだ。同様に、住宅ローンも約18万件あまりの申し込みに97.1%が応じている(2020年3月10日~2025年12月末までの実績)。
これは、1998年の金融ビッグバンの際に不良債権処理に追われ、銀行が貸しはがしをした結果、自殺者数が前年から8472人増加して3万2863人となったことを受けて2009年に施行された通称「モラトリアム法」(「中小企業金融円滑化法」)の名残である。こんな対応をしているのに、不動産業だけ締め付けを行うというのは当面考えにくい。
『新版 マンションは10年で買い替えなさい』(沖 有人、朝日新聞出版)
日本では需給バランスで不動産価格が暴落することは起きたこともないし、今後も起きないだろう。もし、起きるなら、金融庁が不動産事業者に対して引き締めを行う時だけだ。そうなると、金融庁がいつ動くかが事前にわかれば下げ始める前に逃げ切れる(売却できる)ことになる。
私たちはそれを毎月ウオッチしており、住まいサーフィン(編集部注/著者が運営している、マンションの適正価格や資産価値がわかる情報サイト)会員には事前にアナウンスすることを約束している。そこで売るか否かは各自に任せるが、不動産の価格動向を把握しておけば適切な判断を下せることだけは間違いない。暴落論のように根拠がなく、いつ起こるかも明言できないオオカミ少年ネタにおびえるよりも、因果関係が明確な唯一のきっかけをウオッチし続けた方が精神衛生上いいと私は考えている。







