ちゃんと伝えたはずなのに、部下の動きが遅い。急いでほしいのに、のんびりしている――そのすれ違いの原因が、使った言葉そのものにあるかもしれない。

仕事ができる人は「なるべく早く」と言わない。では何と言う?

「なるべく早く」は、人によってまったく違う意味になる

上司が「なるべく早くやっておいて」と伝えたとき、
その言葉の裏には具体的な意図がある。
今日の15時までには欲しい、お客様への中間報告があるから――
そうした背景が、上司の頭の中には存在している。

しかし部下の側には、その背景は見えていない。
「なるべく早く」という言葉を受け取った部下は、
他の抱えているタスクと天秤にかけながら、
今週の金曜日の18時まででいいかな、と解釈する。
そして締め切りが来たとき、上司は「まだできていないのか」と怒り、
部下は「急いでいるとは思わなかった」と戸惑う。

形容詞と副詞は、認識のズレを必ず生む

「なるべく早くやっておいて」
上司の意図:今日の15時くらいまでには欲しい(お客様への中間報告があるから)。
部下の解釈:今週の金曜日の18時まででいいかな(他にもタスクがあるし)。
結果:「まだできてないのか! 遅すぎる!」
このように、形容詞と副詞は「解釈の余地」が無限大であるため、使った瞬間に100%の確率で認識のズレを生んでしまうのです。

「なるべく」「早めに」「できるだけ」「適宜」「いい感じに」――
こうした形容詞や副詞には、解釈の余地が無限大にあるとされている。
使った瞬間に、100パーセントの確率で認識のズレを生んでしまうという。
上司にとっての「早く」と、部下にとっての「早く」は、
同じ言葉でも指している時間軸がまったく異なる可能性がある。

このズレは、上司の伝え方が下手なわけでも、
部下の理解力が低いわけでもない。
形容詞や副詞という言葉の性質そのものに、
受け取る側の状況や価値観によって意味が変わってしまうという構造的な問題がある。
どれだけ丁寧に伝えようとしても、あいまいな言葉を使っている限り、
このズレは避けられない。

解決策は、数字と固有名詞に言い換えること

この問題を防ぐ方法はシンプルだ。
形容詞や副詞を使わず、数字や固有名詞に置き換えることだ。
「なるべく早く」を「今日の15時まで」に変えるだけで、
解釈の余地はなくなり、認識のズレは生まれなくなる。

締め切りだけでなく、品質の基準や作業の範囲を伝えるときも同様だ。
「いい感じにまとめて」ではなく「A4一枚に要点を三点まとめて」、
「できるだけ丁寧に」ではなく「誤字脱字をなくして、見出しをつけて」――
具体的な言葉に置き換える習慣を持つことが、
すれ違いのない指示を出すための、最も確実な手段になる。

次に部下に指示を出すとき、「なるべく」「早めに」という言葉の代わりに、日時や数字を使って伝えることだけでいい。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)