え、「年金」が改善してるってホント?金利上昇と株高で意外な効果も〈油断は禁物〉のワケ年金運用が好調というが...期待していいのだろうか?(写真はイメージ) Photo:PIXTA

年金の運用が、金利上昇と株高を追い風に大きく改善しており、短期的には余裕が生まれている。一方で中長期的には引き続き厳しいと予想される。株高が永遠に続くとは考えられないし、何より少子高齢化が想定以上に進行しているからだ。国民の負担と福祉の最適なバランスを取るためにも消費税を導入し段階的に引き上げてきたが、高市政権は、消費税率の一部減税を検討している。これは、年金をはじめ社会保障にどんなリスクをもたらしかねないのか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

足元では改善しつつある年金基金
だからといって消費税の減税は…

 金利上昇と株高を追い風に、年金基金の運用実績が大きく改善している。企業が一定額の年金の支給を約束する、確定給付企業年金(DB)制度の場合、生命保険会社が提供する商品の利回りは平均で1.7%程度まで上昇した。これは約10年ぶりの水準だ。また、株式の保有割合が高い運用の場合、利回り(収益率)はさらに高くなっている。

 そうした運用状況を見ると、短期的には、年金の財政状況にはゆとりが生まれると想定される。それは、給付額の引き上げにも重要だ。年金の給付額が増えると、年金を受け取る側にとって年金への不安が低下し、現役世代にとっては働きがい(ワーキング・エンゲージメント)向上も期待できる。

 とはいえ中長期で考えると、わが国の年金運用は厳しい状況になることが予想される。企業年金では、企業が一定額の資金を提供し、各従業員が独自に運用する、確定拠出型(DC)に移行するケースが増えている。確定拠出型では、運用責任は企業ではなく、従業員が負う。

 また、公的年金は、現役世代が保険料を払い、それを年金受給者に分配する賦課方式だ。少子高齢化の加速で、保険料を負担する現役世代の数は減っている。一方、年金受給者は増え続ける。賦課方式の持続性には懸念が高まるばかりで、改革が待ったなしだ。

 そうした中で、高市政権は消費税の一部減税に動いている。物価高対策として先の選挙では消費税の減税が公約に掲げられたが、果たしてこれはどんな副作用を生む可能性があるのか。