人生100年時代に向け
年金の抜本改革が必要

 人生100年時代の到来で、個人も企業も、そして国全体も長生きに備える必要がある。持続性が担保できるような年金改革が待ったなしの状況だ。

 25年度末、確定給付型年金の加入者数は885万人だった。それに対して、確定拠出型の加入者は893万人と上回った。確定拠出型の年金は、企業が一定の資金を従業員に支払い、運用は従業員が責任を持つ仕組みだ。

 確定拠出型年金では、一部の加入者は、元本保証型など低リスクの資産を重視している。日本経済がデフレからインフレへシフトする今、株式などの実物資産の保有はそれなりに意味を持つ。中長期の利益を確保するための、有力な選択肢になるはずだ。

 公的年金制度の改革も急務だ。国債発行に頼った結果、日本の福祉と負担のバランスは、主要先進国の中でも「中福祉・低負担」といわれている。国民の負担と福祉の最適なバランスを取ることが必要だ。そのために消費税を導入し段階的に引き上げ、消費税の「目的税」化を進めてきた。

 ところが高市政権は、消費税率を一部引き下げるという。これは、年金をはじめとする社会保障制度の持続性を低下させることになりかねない。財政健全化に必要な基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化は、単年度ではなく複数年度で管理する方針だという。

 財政が悪化すると、公的年金の持続性は低下するリスクが高まる。財政悪化は私的年金の運用にもマイナスだ。公的・私的年金の持続性を高め、国民生活の安心安定を引き上げるためにも、人気取りの短絡的な政策ではない、覚悟を決めた税と社会保障の一体改革が必要である。

真壁昭夫さんのプロフィール