こうしたパターンはどのように形成されたのだろうか。図1-15は、地方別に納豆への支出の推移を見たものである。元データの都合上、2005年までしか追えないが、大まかな傾向は把握できる。
同書より転載 拡大画像表示
近畿や中四国でも
納豆人気は高まっている
『新しい日本地理 地図・統計・移動から読み解く』(重永 瞬・講談社)
データを見る限り、西日本で例外的に九州の納豆支出が高いというパターンは1980年時点ですでに形成されていたようだ。九州で納豆の人気が高い理由は、はっきりと分かっていない。のちに熊本城主となる加藤清正にまつわる納豆発祥伝説もあるが、俗説の域を出ない。また、過去の納豆支出は1965年の大豆収穫面積と相関があり、大豆栽培が盛んだったことが納豆文化を生んだとする説もあり、どちらかと言えばこちらのほうが説得力がある。
九州の伸び以上に目立つのは、近畿や中四国での納豆支出の伸びである。食嗜好の違いから関西・中四国では納豆が忌避される傾向にあったが、大手メーカーが関西をターゲットにたれの味付けをアレンジするなど販路開拓に力を入れた結果、これらの地域でも納豆が購入されるようになった。また、冷蔵庫の普及で温暖な地域でも納豆の保存が容易になったことも普及を後押しした。
納豆支出の地域差については、明確な要因が分かっていない。しかし確実に言えるのは、東日本と九州で高く、関西・中四国で低いという同心円パターンがあること、そしてそのパターンが徐々に平準化に向かっているということだ。こうした傾向は、交通や人口移動の変化とも無縁ではないだろう。納豆支出の変化からは、関西と関東の二極構造が崩れつつあることが読み取れるのである。







