「病院で死ぬ」「家で死ぬ」どちらが幸せ?→いつか誰もが向き合う〈答えの出ない問い〉が頭から離れない〈風、薫る第73回〉『風、薫る』第73回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第73回(2026年7月8日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

長屋の仲間に見守られてトヨが

 夜中、チュウ(若林時英)が直美(上坂樹里)を呼びに来た。トヨ(松金よね子)の容態の急変を知らせに来たのだ。直美が着替えてすぐに出かけようとすると、りん(見上愛)も一緒に行くと言う。

 長屋についた直美はテキパキとトヨの様子を見る。その間にりんが水をくんでくる。水を飲んで落ち着いたように見えるトヨを見て、りんは過呼吸になる。

「今つらいよね、こういうの」直美はりんの気持ちを慮る。

 再び、トヨの部屋に戻る直美とりん。

「トヨさんのために看護婦が2人も来てくれてるぞ。ぜいたくな話だよ」と大家嘉平(春海四方)。

「何か他に欲しいものないかい? うなぎ食べたいとか言われても無理だけどね」とキク(広岡由里子)。

「俺、足でも揉みましょうか?」とチュウ。

 ここにも山本家にあったポット式の蚊取り線香がある。美味しいものを食べる話題も山本家とかぶる。

 長屋の人たちは皆、やさしい。そのやさしさに包まれるトヨ。

 トヨの手をずっと握っていた直美の顔つきがふと変わった。「チュウ、もういいよ」と止める直美。

 みんなにやさしくされて、トヨは穏やかに眠るように息を引き取った。

 病院で診てもらえたら「もっと生きられたかもしれない」と悔やむ直美に、「住み慣れたしみったれ長屋で、みんなに見守られて、あの世にいけたんだ。大往生だ!」と嘉平。
 
「私もこんなふうに逝ってみたいね。直美ちゃん」とキク。

 春海四方と広岡由里子の名優の演技は涙を誘う。