
まさかの万作、スパイ疑惑
貧しい人たちが胸張って生きているけれど、社会は彼らに優しくないという状況に泣けてくる。それでも助け合って、こんなふうに最期までやさしく見送る。それだけでも救いである。少なくとも孤独に苦しんで逝くことはなかったのだから。
長屋の人たちは貧しく、病気になっても病院にもいけない。でも、みんな信頼し助け合って生きている。
それに比べて、病院は違う。それぞれの立場を守るために躍起だ。
黒川(平埜生成)が直美にりんの様子を聞く。
「でも、処分はなくて、意外にやさしいなって…」
そう言う直美に「君は甘いな」と黒川は意味深な発言。
「組織というものがわかってない」
そのあとに続く「病院の非を認めぬため、処分を保留しているだけだ」は英語に。「どうして英語で?」と直美も英語で聞くと、黒川は部屋のドアをそっと閉める。
ドアの前には柴田万作(飯尾和樹)がいた。
「万作さんが院長とつながっているんじゃないかって、医者の間では」と明かす黒川。
病院内で唯一のいい人、りんや直美の味方と思っていた万作がスパイ? 思えば、どこにでも顔を出せるからスパイには最適だ。腕っぷしもやけに強かったし。戦国時代から代々忍者だった家系なのかも。
最近、深刻なエピソードが続いているので、万作のスパイ疑惑でなんだか俄然、おもしろくなってきた。
戦国時代に限ったことではない。ドラマでも会社でも、「この人、実は上に話が通じているのでは」と噂される人物はいるものだ。本人にそのつもりはなくても、結果として“スパイ役”のような存在になってしまう人もいる。同僚や後輩との何気ない会話が、思わぬところまで伝わることもあるから要注意だ。
でも万作はほんとうに院長たちのスパイなのか。
庭師や掃除夫が実は社長だった…というのは黄金パターン。万作はやっぱり病院の最も偉い人で、最後の最後に院長や副院長の働きをジャッジして「処分」するのかも?
万作については正体が明かされる日を待つとして。今は黒川と直美だ。
「何が正しかったなんて、山本さんに聞いてみなきゃわからない。あのまま病室の天井を眺めながら、1人で死ぬ可能性もあった」と語る黒川に、直美は異なる意見を述べる。
「つい最近、私の親しい人も亡くなりました。家で看取られてよかったという人もいるけど、私は、彼女に病院で治療を受けさせたかった」
黒川と直美の言葉には、第59回での捨松(多部未華子)の言葉が思い出される。







