ウォーレン・バフェットPhoto:J. Countess/gettyimages

大富豪が設立した「秘密結社」の存在が暴露

 6月に、PayPalとパランティア・テクノロジーズの共同創業者であり、アメリカのテック右派を代表する大富豪ピーター・ティール氏が設立した「秘密結社」の存在が暴露された。ティール氏が2006年に共同設立した、完全招待制の非公開ネットワーク「ダイアログ(Dialog)」の会員記録がハッキングされ、公表されたのだ。

 ただし、高度なサイバー攻撃で暴かれたのではない。同組織のウェブサイトのソースコードに、会員情報が個人用アクセストークンごと埋め込まれ、ソースを表示すれば誰でも閲覧できる状態で放置されていたのである。

 暴露情報については、ネットメディアWIREDが検証した上で、その内容を報じている。世界の指導者、企業幹部、富豪など数百人が名を連ねている。

 そのリトリート(合宿型の会合)で予定されていたセッション名は、「第三次世界大戦を生き抜く」「核を取り戻せ」「戦場のテクノロジー」「カルトの構築」「政党の構築」などといったものが並んでいる。ビジネスとは無関係な、終末論的なテーマに思える。

 なお、会員に「河野太郎(Taro Kono)」の名前があったことで日本のネット界隈でもちょっとした騒ぎになったが、実際に参加していたという証拠はないので、ここでは触れない。

 また、この事件をスキャンダルとして取り上げるつもりはない。私の関心は、これほどの富と権力を持つ人々の多くが、「世界の終わり」になぜこれほど強く惹かれるのかにあるからだ。

富裕層はなぜ「終末」に備えるのか

 終末への関心は、もちろん大富豪に限ったものではない。もっとも、超富裕層のあいだで具体的な「破局への備え」をしているという情報が2010年代後半から広まり、実際、ニュージーランドの「終末シェルター」購入、地下バンカー市場の拡大などが取り沙汰されたことがある。

 世の中で手に入れられないものがほとんどない超富裕層が、未来に起こりうる「第三次世界大戦」の破局的な事態やその備えに関心を持つのは当然だろう。