「いますぐ昇進させるべき若手」の特徴・ベスト1Photo: Adobe Stock

連絡を送ると、いつでも返してくれる。すぐに駆けつけ、健気に自分をサポートしてくれる。そんな若手を高く評価している管理職は多い。しかし、その評価は適切なのだろうか? 815社のビジネスパーソン17万人の行動記録と人事評価データを分析してわかった、各社が「昇進させている人たち」の意外な特徴を明かそう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

「従順な部下」を評価するのは逆効果

チャットやメールに即座に反応し、こちらの指示にいつでもすぐ対応してくれる若手社員がいる。

「フットワークが軽くて優秀だ」
「こちらの言うことをよく聞いてくれる」

打てば響くような従順さを高く評価し、引き上げたくなる上司は多い。

だが、ここには大きなデメリットが隠されている。

すべての連絡に振り回されて自分の作業を中断している若手ほど、思考の整理や重要な業務に集中できなくなっていることが多い。

上司にとって「扱いやすい便利屋」をそのまま昇進させると、自身の部下に対しても「便利屋」としての動きを求め、燃え尽きさせてしまうおそれもある。

「部下としての動き」に優れている人が、「管理職としての動き」にも優れているとは限らないのだ。

「いますぐ昇進させるべき若手」の共通点

では、実際に昇進しているのは、どんな人たちなのだろうか。

815社のビジネスパーソン17万人の行動記録と評価データを分析したところ、意外な結果が見えてきた。

昇進が早く、組織から将来を「期待されている人」たちは、ツールを使って自分の「時間」を守っていたのだ。

多くのビジネスチャットツールには、プレゼンス機能が標準で付いています。「オンライン」「会議中」「不在」「離席中」など、各ユーザーの状態を表示できる機能です。
 

218社を調査した結果、期待されている人の91%が、このプレゼンス機能を効果的に活用していることがわかりました。
 

なかには、「取り込み中(資料作成中)」「打ち合わせ準備中(10:00まで)」と具体的に書くことで、周囲に「今は邪魔しちゃいけない時間だ」と伝えている人もいました。
 

実際、期待されている人の78%が、「取り込み中」「応答不可」といった設定によって自分を守った経験がありました。
 

一方で、一般社員のなかで同じ習慣を持っている人は33%にとどまりました。

――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司 著)より

「上司からの指示にいつでも対応できる人ほど優秀」と信じて評価している人は少なくない。

しかし、実際に昇進する若手たちの行動は真逆であった。

むしろ彼らは、思考を深めるための時間を、あらかじめ「ブロック」しているようだ。

予定がなくとも、1日に30分の割り込み禁止タイムを確保している人もいます。メールやチャットに対応せず、思考の整理に集中する時間をあらかじめブロックしているのです。
 

通知をオフにする時間を色で可視化するなど、自分が反応しない時間を周囲に伝えている人も多くいます。
 

あるサービス業のグループリーダーは、カレンダー上に「集中モード」の予定を入れているそうです。「企画構想」など具体的な名前で予定を登録し、チームメンバーにも見えるようにしていました。

――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司 著)より

 「イエスマン」より昇進させるべきは、「他人の時間を尊重できる人」

「自分の仕事だけに集中するなんて、協調性がない」

そう思うだろうか。

ところが検証データや心理学の研究を見ると、自分の時間を守れる人こそが、組織に最大の信頼と心理的安全性をもたらしているようだ。

心理学者であるエイミー・C・エドモンドソンの研究で、他者の集中時間を守ることは、相互尊重を土台にした心理的安全性を高め、結果として対人信頼が育ちやすくなることが判明しています。自分の時間を守る人は、相手の時間を大切にできる人でもあるのです。

――『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(越川慎司 著)より

自分の時間を大切にできない人は、他人の時間も大切にできない。

「私が上司のために働いているのだから、部下も私のために働くべきだろう」

そう考えてしまう。

結果、部下やチームの業務が回らなくなり、組織としての生産を落としてしまう。

上司や周囲の機嫌取りのために自らの時間をいつでも差し出す人ではなく、集中時間をしっかり確保し、自らの仕事に責任をもって向き合える若手。

それこそが、次の組織を創り出すリーダーとして「昇進させるべき存在」なのである。

(本稿は、越川慎司著『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』の一部を引用したオリジナル記事です)

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。