3代目ホンダ「N-BOX」の各種モデル Photo:HONDA
ホンダの「N-BOX」が販売実績国内首位の座から陥落する場面が出てきた。直近では、今年4月にスズキ「スペーシア」に抜かれるなど、軽スーパーハイトワゴン市場の競争が激化している。そうした中、ホンダはN-BOXの商品改良を実施。販売の半数を占めるカスタムモデルを中心に市場の声を反映した。その狙いは、N-BOXから同車種への買い替えを増やすことにあるようだ。ホンダ関連施設内で開発やマーケティング関係者らと意見交換しながら、ホンダの未来を考察した。(ジャーナリスト 桃田健史)
「N-BOX」改良の決め手はカスタムのデザイン
迫力と押し出し感を強化
まず、ホンダの「N-BOX」の歴史から振り返ってみたい。
2010年までの軽自動車市場はスズキ・ダイハツの2大勢力時代が続いていた。その中で、ホンダは独自性が強いモデルを投入するも、主役にはなれなかった。
そんな状況を、11年に登場した初代N-BOXが一変させた。
市場が急拡大した軽スーパーハイトワゴン市場での競争が激しくなる中、ホンダはそれまでの軽自動車の常識を覆す「空間とパッケージングの革命」を商品コンセプトとした。さらに、ホンダらしい走行性能の高さも目立ったことでN-BOXはヒット商品となる。
自動車メディアなどで軽自動車各モデルの比較試乗をすると、N-BOXは走行性能が高い評価を受ける結果となったこともあり、軽自動車からの乗り換えに加えて乗用車からのダウンサイジングによる買い替えも増えた。N-BOXはスーパーハイトワゴン市場でのシェアで4割を超えるまでに達する。
さらに、福祉車両とアウトドアライフを両立させる新発想の「N-BOX+(プラス)」や、往年のアメリカ車をイメージしたルーフ部分を大きくカットしたチョップド・ルーフを採用した「N-BOX SLASH」を加えるなど、ホンダ独自の軽自動車世界観を日本に浸透させた。このことも、N-BOXの快進撃をサポートしたといえるだろう。
こうして、N-BOXは軽自動車のみならず、乗用車(登録車)を含め、日本で最も多く売れるクルマの座を維持するようになる。
次いで17年には2代目N-BOXが登場。「登録車水準の質感・安心・快適」を掲げてN-BOXにさらなる磨きをかけた。
ホンダは2代目を「機能価値としての完成形」と称している。
機能価値とは、軽自動車としては大きなサスペンションストローク(作動量)による乗り心地の良さや電動ステアリングの性能向上を含めたハンドリングの良さ、独自のセンタータンクレイアウトによるパッケージング、そしてホンダのエンジン技術の真骨頂であるVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)と高次元でのCVT制御による動力性能などだ。
こうした機能価値の完成形に対して、安全性と解析性に磨きをかけたのが、23年登場の3代目である。2代目の量産期間と比べて、軽スーパーハイトワゴン市場の競争環境はさらに激化しており、今回の改良モデル導入に至ったというわけだ。
改良の決め手は、カスタムモデルのデザインだ。次ページで、詳しく解説する。







