反省を促すために「次はどうすればいいと思う?」と聞いても、「気をつけます」という答えしか返ってこない――そのやり取りを繰り返しているなら、問いかけの形そのものを変える必要がある。

次からどうする

「どうすれば?」という問いかけが、機能しない場合がある

ミスや報告の遅れがあった部下に対して、
「次から遅れないために、どうすればいいと思う?」と問いかける上司は多い。
部下自身に考えさせることで、主体性を引き出そうという意図からだ。

しかし実際には、こうした問いかけに対して部下が返せる答えは、
「早めに報告するよう意識します」という、具体策を伴わない言葉になりやすい。
部下が意識を変えようとしても、何を具体的にすればいいかが見えていないため、
同じミスが繰り返されることになる。

選択肢を与えることで、部下は動ける

上司であるあなたには、部下よりも多くの経験と引き出しがあるはずです。
その経験則から、具体的な解決策の選択肢を出し、部下に選ばせるのです。
例えば、判断に迷って報告が遅れた部下にはどう言えばいいでしょうか。
×「次から遅れないために、どうすればいいと思う?」
→部下:「……早めに報告するように意識します(具体策なし)」
○「再発を防ぐには、具体的なアクションとして2つの選択肢があると思う。A、発覚した時点ですぐに私に暫定報告のチャットを入れる。B、その場で判断できないことは、安易に回答せず持ち帰るというルールにする。君はどっちのアクションなら、確実に実行できそう?」
→部下:「Aのチャット報告なら、すぐにできそうです」
「どうすれば?」と丸投げするのではなく、「AかBか」と具体的な行動の選択肢を与えることで、部下は選ぶことができます。
選ぶという行為は、部下自身が「自分で決めた」という納得感を生み出します。また、その選択肢は上司の経験に基づいた確実な解決策であるため、再発防止の精度が格段に上がるのです。

著者が示す解決策は、「どうすれば?」と丸投げするのではなく、
上司自身の経験に基づいた具体的な選択肢をAとBの形で提示し、
部下にどちらを実行できるかを選ばせるというアプローチだ。

例として示されているのは、判断に迷って報告が遅れた部下への対応だ。
「発覚した時点でチャットで暫定報告を入れる」か、
「その場で判断できないことは持ち帰るルールにする」か――
この二つの選択肢を提示されると、部下は「Aなら今すぐできそうだ」と答えられる。
抽象的な問いには抽象的な答えしか返せないが、
具体的な選択肢があれば、部下は現実的に動ける答えを選ぶことができる。

「自分で決めた」という感覚が、行動を継続させる

選択肢を与えられて選ぶという行為には、重要な意味がある。
上司に言われたことをそのままやるのではなく、
自分でどちらかを選んだという感覚が生まれるからだ。
この「自分で決めた」という納得感が、その後の行動の継続性に大きく影響する。

また、提示される選択肢は上司の経験に基づいた、実際に機能する方法だ。
何でもいいから自由に考えてみてという問いとは異なり、
どちらを選んでも再発防止につながる選択肢の中から選ぶことになるため、
指導の精度が格段に上がるとされている。
部下の主体性と、上司の経験知の両方を活かす形が、
この方法の本質的な強みになっている。

次に部下への再発防止策を考えるとき、「どうすればいい?」の代わりに「AかBか、どちらならできそう?」と問いかけることだけでいい。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)