スリーマイルの北約100キロにあるサスケハナ原発でも、アマゾン傘下のAWSが24年、隣接するデータセンターを6億5000万ドル(約1000億円)で購入。原発を所有するタレン・エナジーは25年6月、AWSのデータセンターに2042年まで最大1920メガワットの電力を供給する契約を結んだと発表した。
電力確保に向け、AI企業は従来の原発にとどまらない核技術の活用も探る。MSは23年、オープンAIのサム・アルトマンCEOが出資する米ヘリオンエナジーと、核融合による電力を購入する契約を結んだ。MS創業者のビル・ゲイツ氏が出資するテラパワーも、ワイオミング州で次世代原子炉建設を進めている。
データセンターは
地元の雇用を生みづらい
一方で、データセンターの建設ラッシュが広がるなか、地元の反発も広がっている。
アリゾナ州フェニックス近郊のチャンドラー市では23年、データセンターの建設を特定の区域のみに限定し、騒音対策などを義務づける条例を導入した。
同州は夏場に気温が40度以上にものぼる。貴重な水資源への影響を抑えるため、データセンターの水冷から空冷式への切り替えを進めた。だがその切り替えで、周囲への騒音が問題化した。データセンターの建設を制限し、電力などの限られた資源を製造業などほかの分野に振り向ける狙いもあるとしている。
地元電力会社ソルトリバープロジェクト(SRP)の担当者によると、同社のデータセンター向けの電力供給は300メガワットだが、2030年までに4倍以上に増える見込みという。
地元の雇用など経済的な影響を重視する自治体も多い。
フェニックスの東に位置するメサ市では、16のデータセンターが建ち、3年で倍増した。地元の税収につながるため、市はIT大手の誘致を進めてきた。だが、最近では半導体や製造業など、より雇用を生む計画を重視している。
『ルポ・シリコンバレー AIブームと米国社会の断層を歩く』(五十嵐大介、朝日新聞出版)
メサの元副市長で、市議会議員のジェン・ダフ氏は取材に「データセンターは電気や水を使うので、税収は市に入るが、雇用自体はあまり生まない。メサではデータセンターはすでに足りている。街のムードは『もう十分』という感じだ」と話す。
電力価格の高騰や雇用に与える影響などへの懸念から、データセンターへの反対運動は米国各地に広がっている。データセンターが最も集中する東部バージニア州のほか、イリノイ、アーカンソー州などでも開発を制限する規制が導入された。
米調査組織「データセンターウォッチ」によると、米国では25年4~6月、20件のデータセンター計画が中止または延期された。中止された計画の総投資額は約980億ドル(約15兆円)分にのぼり、23年に調査を始めて以降に中止された計画の合計額を上回るという。







