スマートフォンを見ながら考え込む男性写真はイメージです Photo:PIXTA

グーグルやフェイスブックの無料サービスを、私たちは日常的に使っている。だが、その「無料」の対価として、どれほどの個人データを提供しているかを実感する機会はほとんどない。実際にグーグルとフェイスブックへ情報開示を請求してみると、10年以上にわたる検索履歴や位置情報、行動記録までが詳細に保存されていた。ビッグテックは私たちのデータをどのように集め、広告収益へと変えているのか。その実態に迫る。※本稿は、朝日新聞編集委員の五十嵐大介『ルポ・シリコンバレー AIブームと米国社会の断層を歩く』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

人生のステージや心理状態は
グーグルに筒抜け

 グーグルやメタが提供するサービスの多くは、無料で使うことができる。彼らは広告ビジネスで年間数十兆円を稼いでおり、その利益の源泉は、私たち利用者の膨大なデータだ。

 そもそも私たちのデータはどう集められ、どう使われているのか。2022年に朝日新聞で始めた企画「ビッグテック 膨張する権力」で、私はそのしくみを探ることにした。

 グーグル、フェイスブック(FB)のサイトから、自分に関するすべてのデータをダウンロードする申請を出し、データを入手してみた。グーグルの場合、「データエクスポート」のサイト(https://takeout.google.com/)に行けば誰でも申請できる。

 入手したグーグルのフォルダをのぞくと、「メール」「マップ」などの項目に分かれていた。グーグルマップの検索ファイルを開くと、2010年5月以降の検索データが表示された。件数を調べると、12年間で6万5632件のデータがあった。1年で5000件、1日あたり15件の換算になる。

 10年以上前の自分の位置情報を見るのは、不思議な感覚だ。一番興味があった「検索」のデータをのぞいた時は、自分の記憶の中をすべて見ているような感覚になった。