脳が条件付け学習をしていないからです。この条件付け学習を担っているのは、ドパミン(編集部注/快楽や動機づけに関係する神経伝達物質)です。
そしてここがポイントです。条件付けが働く脳の部位は、ドパミンが脳内で伝わる経路のひとつの側坐核であり、この側坐核は「やる気」や「快感」の中枢だという点です。
初めて「こんなにおいしいのか!」と思うチョコレートを食べたときには、ドパミンがそれを信号として側坐核に届けます。すると、脳は快感を覚えて学習し、再び体験したいという「やる気」が高まるのです。
とくに甘いものや脂質が多い高カロリー食品は、ドパミンの回路の報酬系を強く刺激することがわかっています。
デザートやラーメンを見ると
胃にスペースができる
次に、おなかはもういっぱいなのにデザートを食べたいときの胃の状態は、物理的にどうなっているのかが気になります。これには、「オレキシン」という神経伝達物質が関わっていることがわかってきました。
オレキシンは、「好物を目にする」「新しい味を発見する」「ごほうびを期待する」といった場面で分泌が活発になり、食欲を再燃させます。
好物のデザートやラーメンを目にしたときや、ひと口食べたときに「食欲を止められず、全部たいらげてしまった」という経験はありませんか。このとき脳ではたくさんのオレキシンが分泌され、摂食の活動が促されているのです。
さらにオレキシンは、胃の運動を促すようにも働きます。胃とは伸縮する臓器で、食べ物が入るとふくらみ、食べ物を消化したら縮みます。食後のデザートなど、好きな食べ物やこれまでとは違う風味のものを目にしたとき、胃の中はいっぱいでもオレキシンの分泌量が増加します。
すると食べたばかりの胃の内容物は腸へと送り出され、胃の上部に新たなスペースができるのです。「甘いものは別腹」と言われますが、その現象は物理的に確かに存在します。
ある患者さんが「ひと口食べて期待以上においしいと思ったお菓子、全部たいらげてしまいました」と話しておられました。これも脳の報酬系がかかわっています。







