すべての人に効く
魔法の薬ではない

 一方、「ゼップバウンド」の結果では、体重5%以上の減量を達成した人は約95%に達しました(プラセボ群は約20%)。さらに20%以上の大幅な減量を達成した人も約65%にのぼり、平均的な体重減少率は72週間で15~22%程度に及びました。

 これは、90%超の患者さんが5%以上の減量効果を示し、約3人に2人が20%以上の体重を減らすという、従来の肥満治療薬に比べて格段に高い減量効果を示しています(注1)。

 副作用についてはどうでしょうか。GLP-1受容体作動薬は、食後の血糖値上昇時にのみ作用するので、インスリン注射のように重篤な「低血糖」を起こす危険性が少ないというメリットがあります。

『減量の科学』書影減量の科学』(福田正博、集英社)

 その一方で、胃の動きを抑える作用もあり、吐き気や胃もたれ、便秘や軟便などの胃腸の症状が起こりやすくなります。

 多くの大規模臨床試験の報告を見ると約20%の人にこれらの副作用が報告されて、当クリニックでもほぼ同じ比率です。そのうち10%の患者さんが、吐き気などの症状が強いために治療の継続を断念しています。

 使えば必ずすべての人に効くわけではなく、どの薬もその効きかたは科学による「効能」であり、「魔法」ではないのです。この点を理解したうえで、減量の科学を味方につけていきましょう。

注1 Jastreboff, A. M., et al. Tirzepatide once weekly for the treatment of obesity... The New England Journal of Medicine. 2022.