会社員であれば、年末に必ず「年末調整」の書類が配られますが、その用紙に必要事項を記入することで、この生命保険料などの所得控除が反映され、年末調整の還付金として戻ってくる仕組みです。

 それにしても、株式を買ったお金や預金にしたお金は所得控除にならないのに、どうして生命保険の保険料は対象になるのでしょうか。

 所得控除の上限額引き上げは、保険業界にとっての悲願みたいなもので、毎年、税制改正の時期が来ると、生命保険会社の人間が与党のところに必ず陳情に行くのが風物詩になっています。所得控除の上限が引き上げられれば、それに比例して保険商品が売れるからです。

戦後の未亡人が生きていけるために
保険の営業として女性を雇った歴史

 なぜ、保険業界にだけそのような優遇措置が認められているのかというと、話は終戦直後にまで遡ります。それ以前の保険の営業担当者は男性が中心だったそうですが、戦争によって多くの男性は戦場に駆り出され、多くの人が戦死し、街には若い寡婦が溢れたそうです。

 なかには子供を抱えた状態で、とにかくその日食べるものを手にするためにお金を必要とした人も大勢いたそうです。

 その結果、特定の資格がなくても即日営業に出られる保険の営業職に就く女性が増えたと言われています。そして、それは決して自然発生的なものではなく、おそらく政治的に行われたのではないかと推察します。

 裏を取ったわけでもないので真偽は定かではありませんが、戦後、日本を統治したGHQからの要請で、戦争未亡人が食べていけるようにするため、戦争未亡人を大勢、保険の営業として雇ったという話も耳にするくらいです。

 こうした戦後の悲しい歴史が、保険会社に政治力を持たせる理由のひとつになったのかもしれません。

 さらに言うと、保険会社が自分たちの悪口に対して、必要以上に神経を尖らせているのは、扱っている商品自体が極めてセンシティブなものであることも関係しているのだと思います。株式投資は企業の成長性に対してお金を投じるわけですが、生命保険は人の命に対してお金をかけているようなものです。

 昔から「保険金殺人事件」があるように、被保険者の生死に保険を「賭け」、その賭けに勝てば大金が転がり込んでくる世界ですから、その裏側に不正や犯罪が入り込む余地が大きいとも言えます。