これは件の記者会見においてプルデンシャル生命側も言っていたことですが、不正の背景として「変動が大きな報酬体系」や「短期間で大金が得られる」ことを挙げていました。場合によっては、契約金の4割ほどが手数料として入ってくることもあったというから驚きです。

過酷な労働と自腹の接待が
不正を生む土壌となったのか

 知人が6年ほど前、プルデンシャル生命の営業部長を務めていた人物に会った際の話です。その人物は「睡眠時間は3時間で、起きている間はずっと仕事をしている」と語っていたそうです。

 具体的な仕事の内容は、高額な生命保険を契約した顧客(経営者)の要望に応えること。そのために昼夜を問わず奔走しており、相当に過酷な世界であることがうかがえます。

 また経営者や所得の高い顧客に保険を買ってもらうには、接待も必要でしょう。そのためのお金は自腹になりますから、不正が横行しやすい土壌があったと言わざるを得ません。

 プルデンシャル生命と同じグループの生命保険会社はもちろんのこと、日本国内で営業を行っている外資系生命保険会社は結構あります。今回の件は、営業員が直接、顧客に自分を売り込むことで契約を取るという保険のスタイルに、ともすれば、こうした犯罪につながるリスクがあることを示す好例とも言えるでしょう。

『銀行の本店はなぜ仰々しいのか?』書影銀行の本店はなぜ仰々しいのか?』(鈴木雅光、幻冬舎)

 そうした営業員と対峙し、騙されないためには、顧客側にも相応の知識が求められます。仮に子どもが小さいなどの理由で生命保険の必要性を感じているとしても、知識に自信がないのであれば、インターネット上で申し込める生命保険に加入し、「保険はあくまでも最低限の保障を得るためのもの」と割り切る姿勢が必要なのかもしれません。

 永田町駅からほど近い、プルデンシャル生命の本社、プルデンシャルタワー。地上38階建ての立派で厳かな本社ビルは周辺でも際立っていますが、その内部で前代未聞の不正受領が行われていた事実は、社会に大きな衝撃を与えました。

 建物の壮麗さと、そこで起きた不祥事のギャップはあまりにも大きく、「目に見える姿」が必ずしも実態を映し出すわけではないという教訓を私たちに突きつけています。