
米半導体大手、エヌビディアのジェンスン・フアン創業者兼CEO(最高経営責任者)が7月15日午後に来日した。同日夕、フアン氏は東京・秋葉原のゲームセンターに足を運び、ゲーム大手セガとの記念イベントに出席。パソコン向けの最新AI半導体をお披露目した。同イベントは一部のメディアのみに参加が認められ、ダイヤモンド編集部もイベントでのフアン氏に密着した。特集『CEO来日! エヌビディア旋風』の本稿では、エヌビディアとセガの関係を振り返るとともに、記念イベントの全内幕を明かす。(ダイヤモンド編集部 エヌビディア取材班)
フアンCEOが秋葉原のゲーセンに
救われたセガとの記念イベント
7月15日夕、東京・秋葉原のゲームセンターは熱狂と厳戒態勢に包まれていた。時価総額世界一の企業、米半導体大手エヌビディアを率いる“革ジャン”ことジェンスン・フアン創業者兼CEO(最高経営責任者)が登場したからだ。
フアン氏が「アキバ」に現れたのは、エヌビディアとゲーム大手セガが、両社の約30年にわたる関係を祝う記念イベントに出席するためだ。イベントには、セガからは里見治紀会長CEOや内海州史社長COOのほか、元社長の入交昭一郎氏や、3D格闘ゲーム「バーチャファイター」シリーズの生みの親である鈴木裕氏が参加した。
超多忙なフアン氏が、日本での訪問先にセガを選んだのには理由がある。実は、エヌビディアにはかつて、セガに救済された歴史があるのだ。
今でこそAI半導体の王者で知られるエヌビディアだが、祖業はもともとゲーム用の半導体だった。1993年に創業したエヌビディアが開発した最初の製品となるパソコン向けGPU(画像処理半導体)「NV1」は、バーチャファイターなどのアーケードゲームをパソコンに移植する際に採用された。
ゲーム用の半導体という新たな市場で、好調なスタートを切ったエヌビディアはこの直後、セガの当時の次世代ゲーム機「ドリームキャスト」のGPUの開発パートナーに選ばれた。しかしここで、エヌビディアは倒産の危機に直面する。エヌビディアは3Dグラフィックを描写する手法で戦略をミスし、ドリームキャストのGPU開発に失敗してしまったのだ。
「契約した技術を実現できないため、契約を解除してほしい。それでも、契約金額を全て払ってほしい」
フアン氏は当時セガの副社長だった入交氏にこう懇願した。普通ならば論外の要求ではあるが、入交氏は契約解除を受け入れ、さらにエヌビディアに500万ドルの追加出資を決めた。セガからの資金を基に、エヌビディアは97年に「RIVA 128」というヒット商品を発売。これで窮地を脱し、99年に株式上場にこぎ着ける。
なおセガは、上場直後にエヌビディア株を約1500万ドルで売却した。この株式を保有し続けていたら、今では「1兆ドル相当になっていただろう」と、フアン氏は現地メディアへの取材に語っている。セガが時価総額世界一企業の大株主になっていた可能性もあったわけだ。
次ページでは、フアン氏が登場した記念イベントの内幕を公開する。フアン氏が自ら、“恩人”である入交氏らを前にエヌビディアとセガとの歴史を改めて詳しく語るほか、最新のAI半導体もお披露目した。フアン氏の「パーソナルコンピューターから、これからはパーソナルAIへ」の発言の真意とは。







