退職の意思を伝えてきた部下に、つい退職理由を深掘りしようとする――その対応が、退職日までの引き継ぎ期間をギスギスしたものにしてしまうことがある。

退職理由を詮索することは、悪手だ
部下が退職を申し出たとき、多くの上司が最初にとる行動は、
「なんで辞めるの?」「何が不満だったの?」と理由を問い詰めることだ。
引き止めたい気持ちや、改善のヒントを得たいという意図から出た言葉であっても、
この対応は悪手だとされている。
理由はシンプルだ。
部下が本当の退職理由――人間関係のドロドロや、会社への深い不信感など――を
上司に正直に話すことは、ほとんどないからだ。
退職を決意した段階で、部下の中ではすでに多くのことが整理されている。
その状態で問い詰められると、
本音を話すことにメリットはなく、
当たり障りのない理由を答えることの方が、摩擦が少ないと判断される。
詮索するほど、部下は心の距離を置く
しかし、これは悪手です。なぜなら、部下が本当の退職理由(人間関係のドロドロや、会社への不信感など)を正直に話すことは、ほとんどないからです。
詮索すればするほど、部下は「立つ鳥跡を濁さず」でいようと適当なウソをつき、心の中で上司との距離を置きます。
これでは、退職日までの「引き継ぎ期間」がギスギスしたものとなり、残されたチームにとってもマイナスです。
詮索すればするほど、部下は「立つ鳥跡を濁さず」でいようとして適当なウソをつき、
心の中で上司との距離を置いていく。
上司が理由を知りたいと思えば思うほど、
部下は表面的な答えを用意し、
本当の気持ちはどんどん遠ざかっていくというわけだ。
その結果、退職日までの引き継ぎ期間がギスギスしたものになる。
部下にとっては最後の職場体験が不快なものになり、
残されたチームにとっても、引き継ぎの質や雰囲気に悪影響が出る。
退職理由を知ろうとした行動が、最後の時間をさらに悪くするという皮肉な結果になってしまう。
退職を申し出た部下との、正しい向き合い方
退職の意思が固まった部下から、本音の退職理由を引き出すことは現実的には難しい。
それよりも大切なのは、残りの期間をできるだけ穏やかに、
互いにとって良い形で締めくくることだ。
退職を選んだ判断そのものを受け止め、
引き継ぎに集中できる環境をつくることが、
上司としての最後の役割になる。
詮索をやめ、感謝と敬意を持って送り出すことが、
残るチームの士気にとっても、退職する部下との関係にとっても、
最も建設的な向き合い方になっていく。
部下から退職の申し出があったとき、理由を問い詰める前に「残りの時間をどう一緒に使うか」を考えることだけでいい。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)



