スマートウォッチを見るシニア写真はイメージです Photo:PIXTA

「親は元気だと言っているけれど、本当に大丈夫だろうか――」。高齢の親を持つ人にとって、転倒や急病、体調悪化の「発見の遅れ」は大きな不安のひとつだ。一方で、見守りカメラには抵抗感を示す高齢者も少なくなく、警備会社のサービスには費用面のハードルもある。そんななか、近年注目されているのがスマートウォッチだ。転倒検知や緊急通報、心拍数や睡眠データの記録など、安全や健康管理のために進化してきた機能が、離れて暮らす親の見守りにも活用され始めている。高齢者がスマートウォッチを使う際の注意点や、見守りに役立つ機能、親のスマートフォン環境に応じた機種選びについて、有識者に聞いた。(清談社 石水典子)

なぜスマートウォッチが
「親の見守り」に使われ始めているのか

 スマートウォッチといえば、ランニングやワークアウトをサポートする機能を思い浮かべる人も多いだろう。だが一方で「ヘルスケアの文脈でも注目されている」と、合同会社アルケーの栗原亮氏(『Mac Fan』編集者)は話す。適切に装着し必要な設定をしておけば、心拍数や睡眠状態、活動量などを継続的に記録できるからだ。

 そして、こうした機能は若者やビジネスマンだけのものではない。

 実際に、スマートウォッチの機能が高齢者の命を救ったり、病気の早期発見につながったりしたケースは国内外で数多く報告されている。

 代表的な機能のひとつが「転倒検知」による救助要請だ。機種によって動作は異なるが、例えばApple Watchでは、装着者が激しく転倒したり高所から落下したりした際、自力で動けなくなると画面に警告を表示し、自動で救急への緊急通報や家族など緊急連絡先への位置情報の共有を試みる。これにより、家の中で意識を失って倒れた高齢者のもとへ迅速に救急隊が駆けつけ、救助につながった事例が報告されている。

 実際、海外メディアの報道によれば、アメリカで92歳男性がはしごから転落した際、Apple Watchの転倒検出機能が自動で救助要請を行い、救助につながった事例も報告されている。

 こうした緊急事態では、あらかじめデバイスに登録した「メディカルID(既往歴や服薬情報、緊急連絡先など)」を端末のロック中に表示できる設定にしておけば、救助者や医療従事者が確認して初期対応に役立つ場合がある。

 また、不整脈の一種である心房細動の兆候を捉える補助として、スマートウォッチを活用する研究も進んでいる。米国心臓病学会(ACC)は、心房細動の既往がない65歳以上で脳卒中リスクの高い患者を対象にした試験で、スマートウォッチを使って約6カ月のモニタリングを行った。標準的な診療よりも新規の心房細動の検出が増えたと紹介している。

 日本でも山梨県南アルプス市で、高齢者にスマートウォッチを装着してもらう実証実験が行われ、フレイル(虚弱)の予兆を早期に検知し、介護予防に役立てる取り組みが行われている。