「何かあった時どうする?」を
話し合うきっかけに

 親のライフスタイルに合う機種が決まったら、次は「どう着けてもらうか」が重要になる。離れて暮らす親の体調を心配して勧めても、「まだ世話にはならない」と返されるかもしれない。高齢者の親にもプライドがあり、監視されているような拒否感を抱く人もいるだろう。

 では、拒否感を抱かれないように伝えるにはどうすればいいか。ひとつの方法は、「不測の事態に高齢者本人の意思を伝えるツールになる」と説明することだ。

 例えば、前述のようにスマートウォッチには転倒検知機能がある。強い衝撃を検知し、その後一定時間反応がない場合、自動的に緊急通報画面が表示される。これを単なる救助機能として説明したのでは理解は得られにくい。その場合、購入時の設定を家族と一緒に行いながら、高齢者本人の意思を確認することが重要だ。

「倒れた時、自分で意思表示できなくなる可能性があります。その時に“誰へ連絡してほしいか”“どう対応してほしいか”を、スマートウォッチで提示できることを話すと納得してもらいやすくなります。もし倒れた時どうするか、といった話題は大事な話であっても、正面をきってなかなか話しづらいものです。だからこそ、『ここに緊急連絡先を入れられるけど、どうする?』と、新しいスマートウォッチの設定を“入り口”にできるといいですよね。そして、それが高齢者ご自身の自己決定や尊厳を守ることにもつながります」

 もちろんスマートウォッチは万能ではない。誤検知もあれば、通信環境やバッテリーに依存するという弱点もある。それでも、「倒れてから発見されるまでの時間」を短くできる可能性があるなら、検討する価値はあるだろう。

 転倒や急病は予測できない。そして多くの場合、それは「誰にも気づかれない状況」で起きる。見守りの本質は、“完璧な安全”ではなく“発見の遅れを減らすこと”にある。そのうえでコスト・心理負担・実効性のバランスを考えれば、スマートウォッチが現実的な選択肢のひとつになることは間違いない。