
「直美さんの思うようにしていいんだよ」
ほんとにそうなの?
文にしてみれば、実の子らしい直美とこれ以上いると、いいことはないと用心しているのだろう。そもそも、体を直す気もなさそうで、きれいさっぱりこの世から去ろうと本気で思っていそうだ。
でも直美はそんなことを受け止められない。
疲れているであろうに眠れないほど悩む直美。それを環(英茉)が心配している。なんだか環と直美のほうが絆が深そうに見えるぞ。だが心配ない。りんとの絆もちゃんと描かれる。この回は、視聴者の疑問にひとつひとつ答えを用意してくれている親切回である。
直美がさすがに疲れてきて職場でミスをしはじめたとき、りんが東京に帰ってくる。環の手紙を読んですっ飛んで来たのだ。ここでは環とりんが目配せし、ちゃんと母と子の絆が見える。よかったよかった。
りんは直美の話を聞く。実の母らしい文が胃がんとわかったいま、どうするのが文のためになるのかがわからないという直美にりんがした助言は「看護婦しなくていい。こんな時くらい…」。
看護婦である前に娘なのだとりんは説くのだ。
「何が文さんのためになるとかじゃなくて。直美さんの気持ちでいいんじゃない? 直美さん、子どもなんだから。直美さんの思うようにしていいんだよ」
以前のりんは、個人の立場であれば、自分が亡くなるときは自分のことよりも残された人のことを考えると言っていた。直美は、自分のしたいようにしたいから、すべてを明かしてほしいと考えていた。
今回は、看病する側の話ではあるが、いずれにしても論点は自分を優先するか相手を優先するかだ。
いまのりんは、娘としてのエゴを押し通していいと言う。だが、以前のりんは、看護婦として山本(本田大輔)の希望を聞いた。
いずれにしても、子どもだったら思うようにしていいものだろうか。親のために生きるべきか、自分のために生きるべきか。またしてもシンキングタイム!
この問いもまた容易に答えは出そうにない。
親の看取りでも、介護でも、夫婦でも、子育てでも、人は「相手を優先するべきか、それとも自分の気持ちを優先していいのか」で迷う。誰もがいつか向き合う現実だからこそ、このドラマが突きつけた問いに、ぐうの音も出なかった。
以前、見上愛が番宣で、りんと直美は月と太陽で役割が分かれているのではなく、その都度、お互いが月になったり太陽になったり役割が入れ替わる(大意)というようなことを言っていた。それと同じで、これ!というたったひとつの冴えた答えは決して出ず、その都度、答えは入れ替わっていくのだろう。








