
文、ついに願いを口に……。
はしゃいだ文はちょっと体調が悪くなって、お開きにすることに。
「あー、楽しかった。女性同士、みんなでお酒でも飲みたくなりました。おしゃれにぶどう酒でも」
文はみなに気を使ったのか、ほんとに少し気分転換になったのかはわからないが、再び笑顔になる。
直美「いいですね」
りん「いいですね」
ふたりの気はとても合っていて、りんは微笑んで見ている。まだはっきりしてないとはいえ、りんと環、直美と文、2組の親子なのだ。
直美が家に戻ってくると、寛太(藤原季節)がいて、猫と遊んでいた。猫は声しかしないが、寛太が猫の声マネをして雑草を持って、猫にちょっかいを出している芝居を藤原季節がやっている。芸が細かい。
寛太はさらに文の追加調査をしていた。卯三郎と違ってリターンもないのに直美の頼みを聞く。なんだかんだ言いながらいい人。
直美の母らしき人物は、遊郭から一緒に逃げていた男と外国に行くつもりだったらしいが、その男は身重の女を置いて一人で外国に行ってしまった。身重の体で働くこともできず、生きていくこともままならない。せめて子どもだけは、と教会に置いていったということだった。
決して、自分勝手に子どもを作って邪魔になったから捨てたというわけではなかったのだ。いま、向き合っている文に対していい印象しかないうえ、このような事情を聞いたら、直美の文に対する思慕はますます強くなるだろう。直美の立場からしたら、名乗り合わない理由はない。
その頃、文の家に卯三郎(坂東彌十郎)が来ていた。
「よく、頑張ってきましたね」と労われ、文は簡単には喜ばない。
「卯三郎さんに褒められるのは。三度目です」と返す。
「リターンのために人をおだてることはあってもなかなか褒めてはくださらない」
「卯三郎は厳しい商売人」と文に指摘され、ぐうの音も出ない卯三郎。
どこまで、素直じゃないのか、文は。
そこで彼女は「一つお願いが」と持ちかける。
ああ、また『風、薫る』名物、ぶった切り。文のお願いは何なのか。直美には言わず、卯三郎にお願いするところがにくい。
このとき感心するのは文がノーメイクふうであることだ。病で寝ているから、お店で働いていたときとは少し違っている。痩せ具合といい、メイクといい、全力を注ぐ、その気合がドラマにいい緊張感を与えてくれる。
また場面が変わる。ぼやーと直美が歩いていると、今度は小川(甲斐翔真)が蒸麺包を食べていて、直美に気づいて満面の笑みに。その顔に癒やされたか、「ありがとうございます」と直美。
「それは自分が言う言葉ですよね」と小川。
ふたりでありがとうと言い合う。なんだこのほのぼの展開は。そして、直美。雑用は寛太、癒やしは小川。恵まれすぎている。
小川に癒やされた直美は再び、文の看病。
夕凪のときに使用した高価な氷嚢を文のおなかに乗せる。おそらく直美が自腹で氷嚢を購入しているのだろう。
ここからは、上坂樹里と内田慈とスタッフの力が結集した素敵なシーンがはじまる。
一緒にうたた寝する直美と文。目を覚ました文が直美の胸元からお守りを取り出し、何かを確信した表情になる。
そして起きる直美に、ついに言うのだ。
「直美さん、ひとつだけ、したいことがあります」
無防備に寝ているふたり。起きて直美を見つめる文のまなざし。目を覚ましたときの直美の安心しきった顔。いつまでも見ていたいすばらしく優しい場面だった。








