この感覚の違いは装備品の管理にも当てはまります。日本のように「完璧な状態で納品」「完璧な数値で管理」という感覚は、外国には通用しません。むしろ、不可能である100%を要求するほうが非常識だと言われてしまうのです。
しかし、日本国内では自衛隊を相手にする企業が「大目に見てもらう」ということはまずありません。0.1%でも不足があったら許されないでしょうし、台風や大雪で輸送ができず納期に遅れたら、何千万円でも何億円でも遅延金を払わなくてはなりません
「意図せざる混入」だから違う物が混ざっていていい、などということは一切ありませんので、もし弾薬など量産品を海外から輸入したならば、その品質・数量検査などに大きなコストを払うことになるのは想像に難くありません。
国産の弾薬は高くない
このことは、自衛隊が厳格な管理体制を取っている限り変えることはできません。自衛隊が射撃訓練で薬莢を全て拾い集めているのは有名な話ですが、後で捜すのは大変なので、射撃の時に薬莢を目で追う癖もつくといいます。自衛隊には世界の軍隊の中でも類まれな習慣や常識があるのです。
小口径弾薬メーカーの旭精機工業は「完全なる納品」をするためにX線撮影装置を設備しています。これは数量管理のためです。もちろん、その前に何回も人の目でチェックをしますが、最終確認のためです。世界の防衛装備品の通念からして良いか否かは脇に置いて、これが日本の防衛産業の現実なのです。
また、弾薬については数の管理だけでなく質の面でも国産に優位性があるといいます。
市川文一・元陸上自衛隊武器学校長は、国産弾の価格は海外製品の平均価格よりもやや高めであるが、巷間言われているような3倍高いといった説は正しくないとした上で性能についても国産弾が海外製品より劣るということはなく、むしろかなり優れていると指摘しています。自衛隊では国産弾しか射撃を実施していないと思われがちですが、輸入弾の射撃も行なっています。陸上自衛隊の上級射手は、国産弾はバラツキが少なく輸入弾よりも優れていると評価しているといいます。







