弾の性能というのは何を指すかというと、弾ごとのバラツキです。これが最小化されているのが良い弾、ということになります。もし問題のある一つの弾が狙った所を外れたなら、射手は照準を変えることになり、そうなると残りの弾も当たらなくなってしまいます。「弾の均一性」が最重要なのです。薬量や形状を限界近くまで均一にすることによって、弾着のバラツキを最小化しているのがまさに国産弾で、このことは自衛隊内でもあまり知られていません。

 この「均一性」を保つために旭精機工業など日本の製造業が必ず行っているのが「目視」による検査です。もちろん機械による検査も経て、その上で機械が排除できなかった不良個所をさらにスキルの高い検査員が見つけ出すというプロセスをとっているのです。これと同じ品質管理を海外に求めるのは無理です。できるかどうかは別として、もし同じ工程を要求すれば価格が跳ね上がることは間違いありません。

無理難題にもとことん応じる国内企業

 色々と書いてきましたが、つまるところ自衛隊の特殊性に適応できるのは国内企業しかない、ということです。自衛隊が自ら好んでしていることではないことも含め、日本の防衛産業はある意味、わがままな息子を黙って見守る父親のような役割をこれまで担ってきたのです。

 他にも象徴的な事例として「速やかな修理、改修」があります。PKOなど海外での活動も行うようになった自衛隊は、ある時から従来の「国内仕様」だけでは通用しない場面も増えてきました。陸自のイラク派遣の時は、普段使っている防弾チョッキでは対応できないと分かり、急きょ新しくしなければなりませんでしたが、関係者の間でも「米国がなんとかしてくれるだろう」という見込みで他の膨大な準備に追われていたところ、米軍から防弾チョッキの提供は受けられないことが判明しました。米軍も当時、イラクだけでなくアフガンにも派兵しており、自国の分だけで手いっぱいだったのです。そんな状況で、同盟国とはいえ共に戦うわけではない日本の自衛隊に、優先的に装備品を振り分けることなどまずあり得ないのです。