部下全員に同じように接することが公平だと思っていないだろうか。しかし、全員に「いい顔」をしようとするリーダーが、結果的に誰の成長にも貢献できていないことがある。

みんなすごい

「全員に同じ」は、公平ではなく思考停止だ

チームの中には、さまざまなレベルの部下がいる。
自走できる優秀な部下もいれば、指示がなければ動けない部下もいる。
この違いを無視して、全員に同じアプローチをとることは、
一見公平に見えて、実際には誰に対しても最適な関わり方をしていないことになる。

できる部下に細かいルールを押しつければ、自由を奪い、やる気を削ぐ。
できない部下に「自分で考えてやってほしい」と丸投げすれば、
迷いながら誤った方向に進み、成果も成長も生まれない。
同じカードを全員に配ることが、誰にとっても最適ではない理由がここにある。

部下のタイプによって、配るべきカードが違う

できる部下には「成長の機会」と「情熱」を配分する。
できない部下には「迷わせない仕組み」と「明確なルール」を配分する。
どちらも、上司としての立派な責任の果たし方です。
全員に「いい顔」をして共倒れするリーダーではなく、人によって「最適なカード」を切れるリーダーになってください。

できる部下に配るべきものは、「成長の機会」と「情熱」だ。
難易度の高い仕事を任せ、挑戦できる環境をつくり、
上司自身が仕事への情熱を見せることで、
その部下はさらに高い場所へ向かおうとする。
細かく管理するのではなく、大きな方向性を示して任せることが、
できる部下の力を最大限に引き出す方法になる。

一方、できない部下に配るべきものは「迷わせない仕組み」と「明確なルール」だ。
何をすればいいか、どの順番でやればいいか、どこまでやればいいか――
この部下に必要なのは自由ではなく、迷わずに動ける道筋だ。
「自分で考えてやって」という指示は、できる部下には力を発揮させるが、
できない部下には混乱と停滞をもたらすだけになる。

どちらも、上司としての責任の果たし方だ

できる部下を伸ばすことと、できない部下を支えることは、
どちらも上司としての立派な責任の果たし方だとされている。
どちらか一方を重視して、もう一方を放置することは、
チーム全体のパフォーマンスを下げることになる。

できない部下に明確なルールを与えることを、
「あの部下はできないから管理が必要だ」という否定的な見方でとらえる必要はない。
その部下が最も動きやすい環境を整えることが、
上司として果たすべき役割だということだ。
できる部下とできない部下に同じものを求めることの方が、
むしろ部下の実態を見ていないことになる。

全員に「いい顔」をしようとすると、共倒れする

全員に同じように接し、全員に「いい顔」をしようとするリーダーは、
誰にも最適な関わり方ができないまま消耗していく。
できる部下は物足りなさを感じて離れ、
できない部下は迷いながら成果を出せないまま残る。
結果として、チーム全体が中途半端な状態で停滞する。

人によって「最適なカード」を切れるリーダーになることは、
えこひいきをすることとは違う。
それぞれの部下の状態を正確に見極め、
その部下が最も力を発揮できる関わり方を選ぶこと――
それが、チーム全体の底上げにつながっていく。

今日から試すなら、チームの部下一人ひとりに「今最も必要なものは何か」を一度だけ考えてみることだけでいい。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)