そして、より自分に向いた仕事を求め、転職をすることになります。そして別の仕事に就いたとし、再度自分にとって何かしら好ましくないことがあれば、同じことの繰り返しとなります。なぜならば、すでに述べた通り、どんな仕事にも、やっかいな面は必ずあり、失敗もあり、つらい経験もあるからです。仕事である以上、それは当然のことなのです。

 それゆえ、「情熱を注げる仕事をしなさい」というアドバイスはいささか無責任な甘言であるように思えてなりません。日本企業のように就職ではなく“就社”である場合はなおさらです。入社後、どのような職場に配属されるかもわからないわけですから、情熱を注げる仕事に出会えるかどうかはわかりません。ただ、就職前に聞いていたその甘言が、就職後に災いすることになります。

ハイパフォーマーたちも
最初から仕事が好きなわけではない

 配属された職場での仕事について、うまくいかない、叱られてばかり、評価されないなど、新入社員時代には普通にあることですが、そんな時にふと思い出すのです。そして確信します。「情熱を注げる仕事ではないからうまくいかないのだ」と。情熱のスイッチをすぐに押してくれる仕事など存在しないのです。この点について誤った思い込みをしている人は、新たに始めた活動が難しそうに感じると、すぐに挑戦をやめてしまうのです。

 実際には、仕事に情熱を注げなくても問題はありません。ハイパフォーマー(編集部注/仕事で成果を出し続ける人)たちでも、当初からその仕事が好きで、情熱を注いでいたという人はむしろ稀です。新入社員で、組織の末端でこき使われている最中に情熱など持てなくて当然です。少なくとも、情熱を持てるか、持てないかの二者択一ではありません。

 そんな中でも意味を見出し、少しでも興味を持ってできそうな業務を見つけて、なんとか継続していく中で、徐々に情熱は育まれていくものなのです。多くのハイパフォーマーたちが辿ってきたように、少しずつ成果があがるようになってはじめて興味も持てるようになるものです。

 情熱を注げるものは、最初から完全な形で現れるものではなく、スキルや自信、人間関係が充実し、そして結果がついてくるようになるにつれて、仕事に情熱を傾けることができるようになるのです。