ブライダル系の仕事や旅行会社、ホテルなども同様です。客側の立場として見れば、楽しそうとか、きらびやかというような印象となるわけですが、晴れの場の仕事ほど、それを仕事にするということは、晴れの場の裏方になるということであり、過酷なものです。実際に、宿泊業やウェディング業などの飲食サービス業は、他業界に比べて突出して離職率が高いことからもそれは窺い知れます。

 一定期間続けていく中で、理想と現実とのギャップを埋めていく必要がありますが、「自分に合った仕事」幻想を抱き、キャリア上の忍耐がなくなってしまうと、それが回り道のように感じてしまい、近道探しをしてしまいがちになります。実際には、青い鳥探しをしている期間こそが回り道であり、キャリア形成を妨げることになりかねないのですが。

「好きなことを仕事に」は
本当に正しいのか?

 そもそも、好きなことを仕事にすべきなのでしょうか。「好きなことを仕事にすれば、それはもはや仕事ではなく、熱中してほぼ休みなく働き続けることができる」というようなことが言われます。「自分の愛することを仕事にすれば、生涯で1日たりとも働かなくて済む」という「よく知られた格言」にもつながります。

 こうした考え方の影響もあり、また、自己実現思想の社会的蔓延の影響もあり、若い世代の人たちは、より自分に向いている仕事を追い求める傾向にあります。「情熱を持って働ける仕事を選びなさい」ということも、米国をはじめとして多く言われています。特に、職業選択にあたっての若者へのアドバイスとして言われがちです。情熱を注げることを仕事にすることが成功への早道だというわけです。

 しかし、好きなこと、情熱を注げることを仕事にすることは、容易いことではありません。それと同時に、こうした考えはある弊害を招いている可能性もあります。仕事で失敗をしたり、つらいことがあったりした場合、「自分が好きな仕事ではないからだ、情熱を注げる仕事ではないからだ」と簡単に結論づけてしまいかねないのです。