「もっと生産性を上げよう」――職場でよく聞く言葉だ。しかし、この一言が、かえって職場の雰囲気を悪くし、仕事の質まで下げてしまうことがある。生産性を高めようとするあまり、部下が相談や雑談を控えるようになり、必要なコミュニケーションまで失われてしまうからだ。では、本当に生産性を高めるリーダーは、部下にどんな言葉をかけているのだろうか。話題の書『3000件の職場の悩みを解決したプロが教える リーダーのふるまい大全』の著者・本田淳也氏が、その考え方を解説する。
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「生産性を上げろ」がむしろ逆効果になる
「もっと生産性を上げていこう」
――こう呼びかけるリーダーは少なくありません。
でも、かけ声だけが先行すると、現場では思わぬことが起きます。
具体的に何をどう変えればいいかわからない部下は、とりあえず「早く仕事を終わらせなければ」と感じ始めます。
その結果、同僚との雑談を控えるようになり、ちょっとした相談もしにくくなる。
コミュニケーションが減り、職場の空気がぎこちなくなっていきます。
雑談は無駄話ではありません。
「そういえばさ」の一言から、大きなトラブルが防げることがあります。
雑談の5分で済む相談が、あとで5時間の手戻りを防ぐこともあります。
それが失われた職場で、本当の意味での生産性が上がるはずはありません。
生産性は「人を急かすこと」ではない
では、本当の意味で生産性を高めるには、どうすればいいのでしょうか。
仕事ができるリーダーほど、「もっと生産性を上げろ」とは言いません。
その代わりに、「何かやりにくいことはない?」「この仕事、もっとラクにできる方法はないかな」と部下に問いかけます。
すると、現場からは「この資料、毎回同じことを書いています」「この確認作業、本当に必要ですか」「ここが一番時間がかかっています」といった声が出てきます。
生産性は、現場が感じている「やりにくさ」を一つずつ取り除くことで、高まっていくものです。
モチベーションが、いちばんの生産性向上策
もう一つ、見落とされがちな視点があります。
生産性を高める近道は、モチベーションを上げることです。
こんな研究があります。
自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できた社員は、そうでない社員と比べて生産性が大幅に上がったというものです。
ツールや仕組みを変える前に、「この仕事の意味」を伝えるだけで人は変わる。
シンプルですが、見逃されがちな事実です。
特に効果的なのが、繰り返しの作業に意義を伝えることです。「この確認があるから、お客さんに間違った商品が届かずに済む」
――たったこれだけで、部下の取り組み方は変わります。
意味を理解して動く人と、ただ急かされて動く人では、仕事の質もスピードもまるで違ってきます。部下が納得して向き合える状態をつくること
――それが、本当の生産性につながっていくんです。








