
「何時も病人の上に眼を注ぎ其の思う處を悟ること」
何が心配かといえば、りんが看病できたかどうかだ。
「風邪くらいは見られるから」とりんは言うがすぐに「ごめん、嘘ついた」と告白。
「初めはちょっと震えた」
それがどうしてなんとかなったかと言うと、患者さんじゃない、環が熱を出したと考えたら、震えが収まったとりんは言う。りんの手の震えが精神的なものであることは明白だ。
りんは話題を変える。
黒川(平埜生成)に会って、彼が継いだ大病院・黒川病院の看護婦取締として働かないかと誘われたと聞いた直美は、りんが黒川にとられてしまうと思ったか、ぐいぐい、りんの状況を聞いていく。
「どうすんの?」
「やっぱり。断ろうと思ってる」と言うりんに、「もう看護の仕事はいや?」と聞く直美。
病気やケガの人を助けたい気持ちは変わらないと、りんが言うので「だったら手の震えはやっていくうちに治るかもしれない」と畳み掛ける直美の心には、派出看護を手伝ってほしいという気持ちがあるだろう。
うかうかしていたら、黒川病院で働き始める。その前に、なんとかしないと。
「手が震えるのはね、怖いんだと思う。人の命に触れるのが」とりんは言い、また話題を変える。
「直美さん、すごいね、自分の派出看護を始めるなんて」
りんは良かれと思って、話題を直美に振る。
「順調なんでしょ?」とりんに聞かれ、「毎日忙しくて」と誤魔化す直美。なんだか相談できなくなってしまう。
直美と別れたあと、りんは自室でひとり、黒川に頼まれた、看護の覚書を書いている。
「何時も病人の上に眼を注ぎ其の思う處を悟ること」。この大事なことをりんはまったくできていない。直美が悩んでいることにりんはちっとも気づいていない。
ちなみに、冒頭、りんは横沢と刑務所で話していて、横沢の話を聞かず、環が新潟に来ることで頭がいっぱいになっていた。このドラマの作り手は、繰り返し繰り返し、他者の話を聞かないことを描いている。
よっぽど強くそのことを世に問いかけたいのだろうか。ちゃんと人の話を傾聴すること。病人でなくても相手に眼を注ぎ思うところを悟ることを。







