職場の人間関係に悩む人の多くは、相手の言動に振り回されている。「返信が来ない」「冷たい態度を取られた」「自分だけ厳しくされた」――そんな出来事があると、つい相手の悪意を想像してしまう。しかし、その思い込みが、人間関係をさらに悪化させてしまうことも少なくない。では、余計な対立を生まず、穏やかな人間関係を築く人は何を心がけているのだろうか。話題の書『人生は気づかぬうちにすぎるから。』から、そのヒントを紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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相手のことを決めつけてしまう
「あの人は、わざと私のメールを無視している」「さっきの言い方には、きっと悪意がある」
職場では、相手のちょっとした反応が気になることがある。
返信がなかなか来ない。挨拶をしても、そっけない。会議で、自分の意見だけ否定された。
そんなことが続くと、「嫌われているのではないか」「軽く扱われているのではないか」と考えてしまうのも無理はない。
しかし、相手の態度が冷たく見えたからといって、そこに悪意があるとは限らない。
単に仕事に追われていたり、気持ちに余裕がなかったり、別のことで頭がいっぱいだったりする可能性もある。
それにもかかわらず、相手の反応をすぐに「悪意」だと決めつけてしまうと、必要以上に警戒したり、こちらも冷たい態度を取ったりするようになる。
その結果、本来は敵ではなかった相手との関係まで悪くしてしまうのである。
職場で敵を作りやすい人は、周囲に敵が多いのではない。
曖昧な態度を悪いほうに解釈し、自分のなかで相手を「敵」に変えてしまっていることがあるのだ。
相手のことを決めつけない
そのことを考えるうえで、ヒントになるのが次のエピソードである。
私は過去に自分が送ったメールへの反応を振り返ってみた。
作家となって本を執筆し始めたとき、私は自分が長年愛読し、影響を受けてきた本の著者たちにメールを出してみたことがある。
簡単な返事をくれる著者もいた。しかし、無反応な人もいた。何度か連絡しても、さらには共通の友人から紹介してもらっても、一切返事をくれないのだ。私は返事をくれた著者たちに尊敬の念を抱いた。その一方で、返事をくれなかった著者たちは冷淡だと思った。
しかし、自分自身がメールの返信に苦労するようになったことで、彼らが返事をしなかったのは、何らかの事情があったのだろうと察するようになった。おそらく彼らはわざと私に対して失礼な態度を取ったわけではない。返事をする余力を失っていたのだ。私のメールやダイレクトメッセージに返信することが彼らの最優先事項ではなくても、それは当然のことだ。
このエピソードが教えてくれるのは、相手の反応だけを見て、その意図まで決めつけてはいけないということだ。
返信がないと、「無視された」と感じる。そっけない態度を取られると、「嫌われている」と考える。
しかし、実際には相手が忙しく、こちらに気を配る余裕がなかっただけかもしれない。
もちろん、本当に悪意を向けられることもあるだろう。
だが、確かな根拠もないまま相手を敵だと決めつければ、こちらの態度もかたくなり、それが相手の反発を招く。
こうして、もともとは存在しなかった対立が生まれてしまうのである。
相手の態度に引っかかったときほど、「ほかの事情があるのかもしれない」と一度立ち止まること。
職場で余計な敵を作らないために必要なのは、相手を無条件に信じることではなく、自分の解釈を事実だと思い込まないことなのである。






