ランキング順位が乱高下
京成押上線の不思議な動き

 不思議な動きをしているのが10位の京成押上線だ。2019年度は45位、2020年度は55位、2021年度は56位だったが、2022年度は26位に上昇。2023年度は11位になるが、2024年度は30位に後退し、2025年度は10位となった。混雑率は2024年度の138%から2025年度の157%へ、全路線で最大となる19ポイントの増加となった。

 こちらも京成の駅乗降客数を比較してみよう。京成で最も利用者が多い押上駅の2019年度から2025年度への変化を見ると、全体では4%増だが、定期外は36%増、都営線に直通する連絡人員に限れば40%増だった。

 定期外利用の大幅な増加は成田空港輸送の好調によるものだろう。成田空港駅の定期外利用は50%増、第2ビル駅は35%増、成田スカイアクセス線の分岐駅である京成高砂の連絡人員が41%増なので、押上駅と連動していることが分かる。

 ただ、押上線の最混雑区間は京成曳舟→押上間、時間帯は7時40分~8時40分なので早朝に成田空港から都心に向かう人でなければ該当しない。そのような利用がどの程度あるのか把握できていないが、順位の変動はこの辺りに理由があるのかもしれない。

 11~20位に大きな変動はないが、2024年度に66位から18位に急上昇した銀座線は、2025年度も16位だった。コロナ禍が過ぎて利用が急回復した、というわけではない。冒頭に記したように、混雑率調査の結果を読み解くうえでは注意すべき点がある。

 昨年の記事でも触れたが、改めて説明しておこう。国交省の発表資料には、東京メトロは2023年度に「列車混雑計測システム」を銀座線、副都心線に導入したため、2024年度から精度が向上したと記されている。

 これはデプスカメラ(深度センサーを内蔵したカメラ)とAIを用いた列車混雑計測システムのこと。資料には「精度向上」とあるが、メトロに聞くと、実際にはAIが機械学習に用いる「学習データ」と「教師データ」に誤りや実情と合っていないものがあったため、正確な数字を算出していなかったという。

 銀座線はコロナ禍の乗客が少ない時期の学習データを用いたため過小に算出されており、反対に副都心線はAIの学習データに誤りがあり、過大な数字となっていた。このような事例もあるため、混雑率調査の数字を鵜呑みにするのも危険なのだ。