クローズアップ商社Photo:sakchai vongsasiripat/gettyimages

総合商社は近年、驚異的に利益を伸ばし、海外投資家からも注目が集まる。だが、特定の分野に特化した専門商社や卸売企業も負けていない。純利益額では総合商社に及ばずとも、中には年平均売上高成長率や自己資本利益率(ROE)などの指標で伊藤忠商事や三井物産といった超大手を凌駕する企業もある。連載『クローズアップ商社』の本稿では、総合商社と専門商社、卸売企業の164社の経営力ランキングを公開する。7大商社を抑えてトップとなった企業とは。(ダイヤモンド編集部 猪股修平、竹田孝洋)

商社・卸164社の「経営力」
7大商社を上回った企業とは

 役員報酬10億円、純利益1兆円、時価総額10兆円――。2020年代に入り、総合商社は資源価格の高騰や「投資の神様」と称される米著名投資家、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイによる株式取得を追い風に、数々の大台を達成してきた。資源価格は落ち着きつつあるが、稼いだキャッシュを次々に新規投資に充て、さらなる成長を追う。

 動きの大きな総合商社に注目が寄りがちだが、特定分野を得意とする専門商社、卸売企業も好機を逃さず着実に成長している。特に資源系の専門商社は総合商社同様、資源価格高騰の波に乗ったほか、半導体を扱う専門商社なども業績に注目が集まる。

 ダイヤモンド編集部は、収益性や将来への投資余力などの観点から総合商社や専門商社、卸売企業の計164社の「経営力」ランキングを作成した。

 ランキングの作成にあたっては、大きく4つの観点で総合得点を算出した。

(1) 近年の商品価格高騰などを収益に結び付けられたかどうかを「年平均売上高成長率」や「営業利益率」で評価

(2) 効率よく稼ぐ力を「ROE(自己資本利益率)」で評価

(3) 株主還元への積極性を「総還元性向」で評価

(4) 投資余力を「フリーキャッシュフロー(FCF)」で評価

 24年初めに公開した前回記事『専門商社vs総合商社「経営力」ランキング【160社】7大商社が占める上位に食い込んだのは半導体のあの会社』では、資源価格の高騰を追い風に大手商社が上位を占めた。だが、今回のランキングでは、序列は大きく激変。三菱商事は12位となった。7大商社を抑えてトップに立った企業とは。次ページでランキングを公開する。