天敵を活かして
害虫を抑える農法
このような反省もあり、最近は農薬に頼りきらず、動植物の組み合わせで作物への被害を防ぐ方法も広まってきた。
一例を挙げると、キャベツの間にオオムギを植えると、アブラムシが減る。これは、オオムギに産卵するヒラタアブという虫の効果だ。
アブラムシは、植物の汁を吸って枯らしたり、葉の病気の原因になるウイルスを運んだりするので、農業の分野では厄介者とされることが多い。
そんなアブラムシの天敵が、ヒラタアブの子ども。幼虫たちがキャベツに移っていってアブラムシを食べてくれるので、キャベツの被害が減る。
オオムギを間に植えると、キャベツのアブラムシを7~8割減らせる。さらなる効果を狙うなら、コスモスやマリーゴールドを植えるといい。ヒラタアブの成虫は花の蜜や花粉が大好きなので、これらの植物があることで狙った場所に来てくれやすくなる。このような植物があると、オオムギだけ交ぜたときに比べ、さらに3~6割もアブラムシが減るそうだ。
『世界を変えた「凡ミス」図鑑』(近藤仁美、三笠書房)
こうした相性のよい植物同士は、コンパニオンプランツと呼ばれる。先述のとおり、近年特によく言及されるようになってきたものだが、一部については昔から知られていた。
たとえば、2009年発行のアメリカ1ドル記念硬貨の裏面には、「スリーシスターズ」という栽培法が描かれている。
ネイティブアメリカン伝統の農法で、まず縦に伸びるトウモロコシと地面を横に伸びるカボチャを植え、ある程度育ったら近くに豆を蒔く。すると、豆のつるはトウモロコシに巻きついて伸び、豆の根に棲む菌が植物の肥料になる窒素を周囲に供給し、カボチャが土の乾燥を防ぐ、というわけだ。
スズメの駆除も、農薬で益虫を殺してしまうのも、現代の私たちからすれば、ある程度結末の想像がつく話だ。しかし、ミスというものは、実際にやらかすまでは意外と盲点であったりする。古今東西の凡ミスを知ることは、いろんな形の転ばぬ先の杖を得ることかもしれない。







