写真はイメージです Photo:PIXTA
「1人が出した1億円」と「1億人が1円ずつ出した1億円」。同じ1億円でも、社会にとって価値が高いのはどちらなのだろうか。近年、こうした問いに新しい答えを示す仕組みが注目されている。集まった金額だけでなく、「どれだけ多くの人が支持したか」や「どれほど強く必要としているか」まで反映しようという発想だ。投票や寄付のルールを変えることで、社会の意思決定はどう変わるのか。その最前線を紹介する。※本稿は、樋口恭介『21世紀を動かす思想』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。
少数派の強い反対意見も
切り捨てない投票の仕組み
従来の多くの投票システムは、「1人1票(One Person, One Vote)」の原則に基づいています。これはシンプルでわかりやすい反面、個々の投票者が特定の選択肢に対して持つ「選好の強度(Intensity of Preference)」を十分に反映できないという課題がありました。例えば、ある政策について、多数派が「まあまあ賛成」である一方、少数派が「絶対に反対、これが通れば生活が破壊される」と強く感じていたとしても、単純多数決では少数派の強い意見は無視されがちです。
Quadratic Voting(QV)は、この問題を解決するために考案された新しい投票メカニズムです。QVの基本的なアイデアは、「投票者は、自分がより重要だと考える案件に対して、より多くの票(影響力)を投じることができるが、そのためには追加的な『コスト』を支払わなければならない」というものです。この「コスト」は、投票者が持つ「投票クレジット(Voice Credits)」の消費という形で表現され、投じる票数が増えるほど、必要なクレジット数が二次関数的に増加します。







