データやグラフが表示されたデジタル空間と人々のシルエット写真はイメージです Photo:PIXTA

SNSやネット空間は、社会の「分断」を深める場として語られることが多い。だが台湾では、AIツールを使って対立する市民の意見を分析し、双方が共有できる「共通点」を見つけ出すことで、実際の法改正につなげた事例がある。ライドシェアサービス「Uber」をめぐる激しい対立を乗り越えた政策議論プラットフォーム「vTaiwan」と、フランスの「大討論会」でも活用されたAIツール「Polis」。テクノロジーは分断を乗り越える新たな合意形成の手段になり得るのか。その可能性を探る。※本稿は、樋口恭介『21世紀を動かす思想』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。

台湾ではオンラインで
政策づくりが進められる

 台湾では、インターネットやデジタル技術を駆使して、政府の政策決定プロセスに広範な市民の声を効果的に取り入れ、より透明な参加型のガバナンスを実現しようとするさまざまな実験が積極的に行われてきました。

 その中でも特に国際的な注目を集めたのが、「vTaiwan(ブイタイワン)」というオンラインの政策議論プラットフォームです。vTaiwanは、主に新しいテクノロジーに関連する法規制(例えば、ライドシェアリング、オンライン酒類販売、フィンテックなど)のように、意見が対立しやすく、既存の法制度では対応が難しい問題について、多様なステークホルダー(市民、専門家、業界関係者、政府関係者など)がオンライン上で建設的な議論を行い、コンセンサス形成を目指すための場として設計されました。

 vTaiwanのプロセスは、通常、次のような段階で進められます。

1.意見収集段階(Objective Stage):特定の論点について、関心を持つ誰もが自由に意見や情報を投稿できる。この段階では、賛否を問わず、できるだけ多くの多様な視点を集めることが重視される。