具体的には、ある案件に対して、

● 1票を投じるのに必要なクレジット数:1(=1×1)
● 2票を投じるのに必要なクレジット数:4(=2×2)
● 3票を投じるのに必要なクレジット数:9(=3×3)
● n票を投じるのに必要なクレジット数:n2(=n×n)

 となります。

 この仕組みにより、投票者は、自分に割り当てられた限られた投票クレジットを、どの案にどれだけ配分するかを慎重に考えなければなりません。本当に重要だと思う案件には多くのクレジットを投じて影響力を高めることができますが、そうすると他の案件に使えるクレジットは少なくなります。結果として、QVは、各投票者が持つ「選好の強度」をより正確に反映し、少数派であっても特定の論点に強い関心を持つ場合には、その意見が結果に影響を与えやすくなる一方で、多数決の原則も維持するという、バランスのとれた集団的意思決定を可能にすると期待されています。

QVは選挙や株主総会
地域コミュニティにも活用できる

 QVの数学的基礎は、効率的な公共財供給に関する経済学の理論(特に、ヴィックリー=クラーク=グローブス・メカニズム[編集部注/ウィリアム・ヴィックリー、エドワード・クラーク、セオドア・グローブスの3名の経済学者に確立された、メカニズムデザイン。主にオークション理論や公共財の意思決定において応用されている。]など)に遡ることができます。理論的には、QVは社会全体の厚生(効用の総和)を最大化する方向に働くことが示唆されています。

 QVの応用可能性は広く、政治的な選挙(特に住民投票や政策選択)、企業の株主総会での議決、地域コミュニティの予算配分、学術論文の査読評価、さらにはオンラインコンテンツの評価システムなど、さまざまな意思決定場面での活用が検討されています。台湾では、オードリー・タンの主導で、政府の優れたデジタルサービスを表彰する「総統杯ハッカソン(Hack+Marathon)」の審査プロセスにQVが導入され、参加者各プロジェクトの社会的価値や緊急性に対する多様な評価を表明する手段として機能しました。米コロラド州議会でも、民主党議員団が党内での予算配分優先順位決定にQVを試験的に用いた事例があります。