北陸新幹線,鉄道Photo:PIXTA

自由民主党、日本維新の会は7月15日に開かれた与党整備委員会の会合で、北陸新幹線の敦賀~新大阪間の延伸ルートについて、現行の「小浜・京都ルート」かつ京都市内の駅をJR京都線桂川駅に設置する「小浜・京都ルート桂川案」とすることで合意した。しかし、地下水や建設発生土、交通渋滞、財政負担などへの懸念から、京都府・京都市の反発は根強い。さらに、仮に地元の理解が得られたとしても、整備新幹線には財源確保やJRの同意など複数の着工条件があり、「2027年度着工」は不可能と言ってよい。北陸新幹線延伸をめぐる現実的な課題を検証する。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

2027年度に着工は
本当に可能なのか

 延伸ルートについての検討の経緯は7月20日付『「米原ルート」はなぜ消えた?建設費5兆円超でも北陸新幹線「桂川案」が選ばれた理由』で解説したため省略する。

 京都市の松井孝治市長はルート決定後、「京都市域を通る場合、『地下水』、『建設発生土』、『交通渋滞』、『財政負担』、『文化的・歴史的建造物等への影響』の5つの懸念・課題について、市民の皆様の体感的なご理解・ご納得をいただくことが私の職責であり、今回の決定においてもその考えに全く変わりはありません」とくぎを刺した。

 ところが、与党整備委員会から早速、「早ければ2027年度の着工を目指す方向」との話が出てきて地元の感情を逆なでする。松井市長は16日の記者会見で「根拠を示してほしい。財政負担や地下水などいろいろな懸念を申し上げている中でそのような話が出るのは『えっ』と驚く」と不信感をあらわにした。

 京都府・市の懸念・疑念を解決に導くのは困難な道のりだが、仮に地元を説得できたとしても、2027年度に着工できる可能性は限りなく低いと言わざるを得ない。整備新幹線の着工には次の通り5つの条件があるが、いずれも高いハードルだ。

(1)安定的な財源見通しの確保
(2)収支採算性
(3)投資効果
(4)営業主体であるJRの同意
(5)並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意