懸念される
貸付料への過度の期待
もうひとつの懸念が、「(2)収支採算性」に関連して貸付料への過度の期待だ。収支採算性とは開業区間、関連線区、並行在来線など、整備新幹線に関係する全ての線区の収支を、「新幹線を整備した場合」と「整備しなかった場合」で比較して、差額がプラスであればそれを「受益」とみなす。つまり、収支採算性とは貸付料と等しい概念だ。
収支採算性=受益の考え方(筆者作成) 拡大画像表示
これを踏まえてみていこう。中心人物は前回記事でも登場した、与党整備委員会共同委員長を務める前原誠司衆議院議員だ。前原氏は7月21日、「総工費の75%以上を貸付料で賄うことを目指す」ことを委員会取りまとめ案に明記したいと述べた。これにより国が17%、地方が8%の負担となり、京都の負担は1%未満になるという皮算用らしい。
貸付料と受益の関係は、1996年の「整備新幹線の取扱いについての政府・与党合意」で「JRについては、受益の範囲を限度とした貸付料等によるものとする」と明記(それ以前も考え方としてはあった)されて以降、一貫した整備新幹線のルールである。負担割合が先に決まるなどということはあり得ない。
輸送需要が大きく、貸付料が多い路線は結果的にJRの負担率が高くなる。例えば、北陸新幹線高崎~長野間の総事業費は8282億円で、30年分の貸付料は5250億円、つまりJRの負担率は63.4%だった。
建設費に占める貸付料の割合 拡大画像表示







