渋滞激しい「ゴッパチ」国道58号
経済損失は年間1455億円!
沖縄県の人口は減少傾向にはあるものの、移住者が多いことから「減少率」は全国的に低い。
那覇市の人口は約31万3400人(2025年国勢調査)。一見すると多いとは言えないかもしれないが、那覇市は全国の県庁所在地の中で「最も面積が狭い」ため、人口密度だと約7570人/㎢。これは名古屋市(約7000人/㎢)、さいたま市(約6400人/㎢)、福岡市(約5300人/㎢)よりも過密都市である。那覇市より人口密度が高いのは東京23区や大阪市、横浜市、川崎市くらいで全国有数の数値と言えるだろう。
これほどの人口規模であれば、複数の事業体による鉄道があってもおかしくはない。ところが現状は、那覇空港(那覇市)~てだこ浦西(浦添市)を結ぶ「ゆいレール」のみ。本島中部~北部に向かうには、本部港へのフェリーや高速船など、ごく一部を除いて道路交通に依存している。
そのため渋滞は非常に激しい。とりわけ県民から「ゴッパチ」と呼ばれる国道58号は、本島の南北を結ぶ大動脈だが、慢性的な渋滞が市民生活(例えば物流)にも主要産業(観光など)にも悪影響を与えている。
少々古いデータになるが、県が2015年に調査した那覇市における混雑時の平均旅行速度は時速10.8km前後と、当時の全国平均(32km)よりずっと低く、東京23区(14.6km)よりも悪い数値だ。現在は円安による外国人観光客(インバウンド)の増加もあるので、さらに悪化している可能性もある。
内閣府沖縄総合事務局が23年11月2日に試算した「渋滞による経済損失」は、給与換算で年間1455億円に上るとされている。これは県民1人当たり年間約10万円、約47時間(全国4位の多さ)の損失に相当する。
また、沖縄県では運転マナーの悪さが社会問題となっている。全人身事故に占める飲酒絡み事故の割合が、5年連続で全国ワースト。死亡事故に占める飲酒絡みの比率は、全国平均の約2.2倍(約12.5%)と、極めて高い。県では人口が減少し始めてもなお、自動車の保有台数は増え続けている。
自動車保有による経済的負担も県民の課題だ。このようなクルマ社会への依存に端を発した課題の多さを考慮すると、ゆいレール以外の鉄道が求められるのも当然と言えるだろう。







