車社会の地方を直撃
飲食・観光にも逆風
影響は、物流以外の運輸にも当然及ぶ。タクシーやハイヤーなどの一般乗用旅客自動車運送業も例外ではない。
自宅などの立地は、生活道路に面した配置が多数を占める。よって、タクシーなどを利用した帰宅時には生活道路の走行を余儀なくされるため、引き下げに伴って走行時間が延び、利用料金も上昇する。食料品や光熱費などの価格上昇が家計を直撃している折、タクシー代などの価格上昇は顧客離れの一因となろう。
料金の上昇は観光タクシーにも逆風となる。マイナスの消費マインドは、ワイナリー巡りや蔵元巡りなど、アルコールを楽しむため主要な訪問手段をタクシーとし、狭い生活道路も走行する観光需要にも及ぶだろう。
影響は、介護事業にも及ぶ。24年度の年間累計受給者数が1439万人に達し、介護受給者総数の四分の一を占める通所介護(デイサービス)では、介護事業所の送迎車が介護保険サービスの一環として要介護者の自宅と施設の間を送迎する形態が一般的だ。それゆえに、走行経路に占める生活道路の比率も自ずと高くなる。
元より余裕ある送迎時間の設定などが求められている一方で、運転者を含む介護分野全体での人手不足が深刻化しており、通所系サービスでも送迎負担が課題となっている。そうした中での引き下げは、送迎時間の延長を招き、結果として送迎件数の減少をもたらしかねない。
運転者を2人要するため、利用料金がタクシーを上回る運転代行業も、漏れなく影響を被る。運転時間が延び、燃料消費量を増やせばその分を価格に転嫁せざるを得なくなるためだ。他方、利用者目線では、走行時間(=自宅などへの所要時間)が長くなり、価格まで上昇することを喜ぶ者はいない。よって需要を冷ます。
改めて言うまでもなく、運転代行ニーズの9割以上は飲酒後の帰宅・移動だ。よって、中心繁華街が駅から離れた地域にある酒類提供飲食店街などに、特に大きな逆風となろう。
長期的には、運転代行業と補完関係にある飲食業全体へのマイナス効果が見込まれる。国勢調査で調査対象とした20年の直近データでは、自家用車のみで通勤・通学する割合は1位の山形県(80.6%)から47位の東京都(8.8%)まで9倍以上の開きがある[図表4]。それゆえに、比率の高い地域に対する需要の冷え込みが相対的に大きくなる可能性がある。








