引下げに伴う影響を試算
通勤時間は6.52分増える?

 国内での車両保有者に占める個人名義と法人名義の割合は、およそ7対3の模様だ。図表4で示したとおり、通勤・通学手段に「自家用車のみ」と記した48.3%(全国平均)の比率は全ての手段のうち最も高い。駅やバス亭付近などに駐車場を借り、そこまで行った後に鉄道やバスなどに乗車する経路などを含めれば、通勤に自家用車を利用する率は過半数に達すると見込む。

 国土交通省が24年3月に公開したデータからは、自動車運転を含む男性の平均通勤状況として、男性の平日の平均移動距離12キロ、平均移動速度時速22.1キロ、平均所要通勤時間が31.1分、がうかがえる。このデータをもとに、以下の設定を行った。

(1)通勤距離12キロの8割を主要幹線道路、2割を生活道路と仮定
(2)引き下げ前の走行速度は全域時速22.1キロ、引き下げ後は生活道路部分を時速22.1キロの半速で走行

 この設定で試算したところ、引き下げに伴う通勤時間の延長時間は6.52分となった[図表5]。

 同じ経路を走行しながら、朝夕におのおの7分弱、余分に時間を要するようになることへの負担感は重い。既婚者で子供が小さければ各種の送迎など、また、親族が高齢化している場合には医療機関への送迎などを、通勤と組み合わせてやりくりしている世帯も珍しくない。通勤時間の長期化は、そうしたやり繰りにも影響してくることだろう。

 既述のとおり、時速60キロ走行時に比べ、時速30キロ以下の走行時の燃料消費量は増える。20年頃の1リットルあたり130円前後であったレギュラーガソリン価格は、24年秋頃には180円台のピーク値をつけた。その後は燃料油補助金など政府の補助策が実施されているが、価格は大きく下落せず、26年7月27日時点では170.1円となっている。毎日の通勤ゆえに家計に与える影響は大きく、「燃料消費増=給油回数増」は個人消費マインドにもマイナスをもたらしそうだ。