「投稿された写真を拡大すると、パソコン画面に表示されている情報が読める状態になっています」
広報担当者が確認したところ、社員が操作していた営業支援システム(SFA)の画面には取引先企業名、商談の進捗状況、見積金額、価格交渉の内容などが表示されており、一部は画像を拡大することで判読できる状態でした。
その後、SNS上では「取引先の情報が見えている」「情報管理が甘すぎる」といった投稿が相次ぎ、画像は急速に拡散しました。B社は投稿を削除するとともに、取引先への説明や対応に追われることとなり、情報管理体制そのものが問われる事態となったのです。
「悪意のない投稿」でも
営業秘密や顧客情報は漏えいする
こうした「写り込み」による情報漏えいは、決して珍しいものではありません。
企業がSNSへ投稿した写真の背景に写ったパソコン画面やホワイトボード、書類などから、営業秘密などの営業上重要な情報や取引先情報、未公表の事業計画などが判明してしまう事例は、これまでも数多く発生しています。
銀行の社内写真に顧客情報が写り込んでいた事例や、背景に写った資料から未発表の製品情報が判明し、企業の信用や株価に影響を与えた事例も報告されているのです。
近年は、AIによる画像鮮明化や高性能な画像解析技術の普及により、「この程度なら読めないだろう」と考えて投稿した写真であっても、後から第三者によって内容が判読されるリスクが高まっています。
情報漏えいは、サイバー攻撃や不正アクセスだけで起こるものではありません。何気ない1枚の写真が、企業の信用や取引関係を揺るがす情報漏えいにつながる時代です。
営業秘密や取引先情報が漏えいすると
企業にはどのようなリスクがあるか
では、このようにSNSへの投稿をきっかけとして、営業秘密や取引先情報が漏えいした場合、企業はどのような法的責任を負うのでしょうか。また、企業はどのような対策を講じ、万が一情報漏えいが発生した場合には、どのように対応すべきなのでしょうか。
そこで今回は、SNSトラブルや企業法務に精通する弁護士法人かける法律事務所の細井大輔弁護士に、企業が直面するリスクや、情報漏えいを防ぐための実務上のポイントについて聞きました。







