11年前、大学卒業後に無職となったジェームズ・ベイリー氏は、大失恋も重なり失意の中にいた。頭から離れないのは「人生の意味とは何か?」という問い。彼はその答えを求め、世界中の人々に手紙を1000通以上送った。冒険家や元大統領、科学者、囚人、経営者、アスリートから寄せられた返信を1冊にまとめたのが『人生の意味――世界のあらゆる一流に教えてもらった105の答え』だ。来日したベイリー氏に、本書に込めた思いと、問いの先に見えてきたものを聞いた。(構成:田中裕子、写真:山口真由子)
ジェームズ・ベイリー氏
「人生の意味」を尋ねる手紙を1000人以上に送ったら?
――1000人を超える著名人に「人生の意味」を尋ねる手紙を送られて、100人以上から返事があったそうですね。無名の若者からの、しかも「人生の意味とは?」という哲学的な問いに、そんなにも多くの返事が来たことに驚きました。
ジェームズ・ベイリー氏(以下、ベイリー):こんな手紙がいきなり届いたら、面食らいますよね。でもきっと、「人生の意味」について考えたり書いたりすることをセラピーのように感じてくれたのだと思います。言葉にしたことがあってもなくても、多くの人が、自分の中にすでに答えを持っている問いだったとも言えるでしょう。
――ベイリーさんがとくに影響を受けた手紙はどのようなものですか?
ベイリー:一つだけ選ぶのは難しいですが、心に響いたのは、旅や探検を生業とする人たちの答えですね。広い世界を見たり新しい人に出会ったりし続けたい、という私の好奇心が、彼らの言葉と深く響き合いました。ほかにも、本当につらいことを経験した人や、危機的な状況から生還し、命の大切さを実感している人たちの手紙にもやはり心を動かされました。
あとはそうですね……「対照的な意味を持つ答え」にも大きな影響を受けたかもしれません。
まさかの「正反対の答え」
――というと?
ベイリー:たとえば心理療法士のサラ・クブリックの「人生の意味は朝日を見ながら紅茶を飲むこと」という言葉と、自転車世界一周最速記録保持者マーク・ボーモントの「最も幸福を感じるのは、つねに何かをめざして努力しているとき」という言葉。まるで正反対とも言える「人生の意味」ですよね。
当時はそのことに少し戸惑いました。でも、今はその「違い」こそが真実なのだとわかります。みんなが同じ人生の意味や目的を持っていたらつまらないし、社会は機能しないでしょう? それぞれに異なる解を持っていることがすばらしいのです。
たった一つの正解なんて存在しないし、「このステップに従えばだれもが幸せになれる」といったセオリーもない。それぞれが記してくれた答えやストーリーはもちろん胸を打ちましたが、この「多様な答えや道筋が存在する」という気づきこそが、唯一の答えを必死に探していた私を変え、人生を支えてくれたように思います。
送ってきた人生によって刺さる部分が違う
――「たった一つの正しい答え」ではなく「100を超える答え」に触れられることが、この本ならではの大きな魅力ですね。
ベイリー:もちろん家族や友人、愛、自然といった普遍的な存在に人生の意味を見出す人は複数登場しますが、それでもまったく同じ答えではありません。
人によってお気に入りのメッセージが異なるのも、本書のおもしろさです。「この手紙がよかった」「あのメッセージが刺さった」といった感想が、人によってまるで違うのです。
おそらく、その人が大切にしている価値観を映し出しているのでしょう。本の中にはだいぶ風変わりな答えもあって、友人がそれを一番のお気に入りだと言っていたときは少し心配になりましたが。
読者の方には、ぜひ、105の手紙の中から、自分にフィットする答えを探してみてほしいですね。








