ただなんとなく「飲みに行きませんか」と誘われると「何のために行くんだろう」「仕事の愚痴を聞かされるのかな」と身構えてしまう人もいるかもしれません。

 が、相談という明確な趣旨ができることで、相手は「自分が行く意味」を見出しやすくなり、ただの飲み会よりもはるかに参加のハードルが下がります。相手に「アドバイザー」という役割をプレゼントするわけです。

 そして、この「相談」のスタンスは、当日のコミュニケーションを円滑にする上でも絶大な効果を発揮します。

相談相手の役割を与えれば
会話が弾みやすくなる

 僕自身、実際に会ってお茶などをするとき、よく相手に悩み相談を持ちかけます。

「これからの働き方について〇〇さんにちょっとお聞きしたいなと……」といった具合です。冗談めかして、「はい、先生。質問です!」と聞いて、相手を立てることもあります。

 そうやって最初にこちらが教えを請う姿勢を見せると、その日の相手の立場が明確になり、その場が安全な「相談室」のようになります。

 相手も「いやいや、私なんてお役に立てるかどうか」と謙遜しつつも、たいがい快く話してくれるはずです。役割が決まると、人はとても話しやすくなるからです。

 そしてひとしきりアドバイスをしてくれた後には、やがて「逆に、五百田さんにも聞いてみたいんですけど……」と、自然な会話のキャッチボールが生まれることも多いものです。

 このテクニックは、とくに上の立場の人が下の立場の人へ使うのも、非常に効果的です。職場の後輩や年下の人を誘うとき、ただ「飲みに連れて行ってやるよ」と言うと、説教くさくなるリスクがあります。

 そうではなく、上の人から「ちょっと教えてほしいんだけど、うちの息子がさ……」と重すぎないプライベートな相談を持ちかけると良いでしょう。

「アドバイザー」という役割は、やっかいな上下関係の壁を取り払い、フラットで心地よい会話を生み出すための、良い方法なのです。